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猫の心をコントロールする寄生虫のメカニズムは私達が考えたほど「スマート」ではないのかもしれません。

宿主の行動を変える呪文にかかるのは脳を持たない昆虫だけではありません。トキソプラズマ原虫に感染したネズミは遺伝子に刻まれた猫に対する恐怖心を失います。その結果、ネズミを捕食した猫の腸内で原虫は繁殖すると言った仕組みです。

いくつか否定的な研究はあるものの世界人口の30%が感染していると見られている。しかし新しい研究によると、この猫を操作している寄生虫の理論は「スマート」ではないかもしれません。

トキソプラズマ原虫に感染したネズミはネコを怖がらなくなりますがそれはネコだけに留まりません。そのメカニズムは当初考えられていたような、悪魔のような寄生虫が意志を持ってニューロンを操ると言ったものではなく単純に脳の一部が炎症を起こした結果によるものだと判明しました。

Cell Reportに掲載されたスイスのジュネーブ大学の実験では、宿主の行動にどのような影響を与えるために異なる種類の匂いが充満した部屋を用意し、その過程でネズミがどの香りに恐怖心などを抱くかを検証しました。この匂いの中にはネコやキツネなどの捕食者の匂いや同じネズミの匂いなどの無害なものも含まれています。

トキソプラズマに感染していないネズミは予想通り、捕食者の匂いを感知すると恐怖で体が硬直し、匂いを避けましたが感染しているネズミは匂いの方向へ近づきました。しかし重要なことに感染したネズミは単にすべての部屋を巡ることに熱心だったということです。また臭気の調査に費やした合計時間において、両グループのマウス間で違いは観察されませんでした。

「これらの結果は、寄生虫による宿主行動の操作は、ネコの捕食者に反応する神経回路を標的とするという一般的な考えとは対照的です」とジュネーブ大学の共同執筆者であるピエール・メディ・ハンモウディは述べています。

研究者は感染したマウスの脳を3Dでマッピングすることで寄生虫の脳への影響を調べたところ、感染したネズミの脳の視覚情報を司る部分に寄生虫で満たされた嚢胞があることを発見しました。しかし嚢胞は全体的に見られたため特定の部位へ影響を与えているわけではないことを示唆しています。

「まとめると、この発見は、寄生虫自体が特定のニューロン集団と直接干渉するのではなく、ニューロンの炎症によって媒介される行動操作に向けられている」とジュネーブ大学の共同研究の著者であるイヴァン・ロドリゲス氏は言います。

「それは単純なオン/オフシステムではありません。将来、宿主へのトキソプラズマの影響を研究する際には、慢性感染のレベルを常に考慮する必要があります。」

今後、研究者らは、神経炎症が不安、社交性、好奇心などの行動特性をどのように変化させることができるかをさらに詳しく検討する予定です。

参照:iflscience