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明日から使える宇宙にまつわる雑学10選【豆知識】

書籍やインターネットの普及によって情報が素早く、広く広がるようになった。一方で世の中には「知らなくてもいいような情報」も溢れかえることとなったが、その中には知的好奇心を刺激される情報や他人に自慢したくなるようなトリビアが数多く存在する。

今回はその中から宇宙にテーマを絞って10個ほど雑学を紹介する。

宇宙服なしで宇宙に放り出されても人は即死しない。

広く知れわたっている知識として、「生身で宇宙へ放り出されると、血液が蒸発して死亡する」というものがある(もしかしたら間違っている知識としての知名度の方が高いかもしれない)。

標高が高い場所では水が100℃以下でも沸騰する、という話を聞いたことがあるだろうか。蒸気圧の関係から、気圧の低い場所では水の沸点が低くなる。現に富士山の山頂付近では沸点が87℃ほどに下がるためカップラーメンが上手く作れず、やむなく圧力鍋を用いて水を沸かしているという(圧力をかけて沸点を地上と同じにしている)。

したがって、気圧が極端に低い宇宙空間では暴露された水が瞬時に凍結・昇華してしまうと予想されている。この説は恐らくこれを人間に当てはめたものだろう。

しかし現在の知見に基づくと、このような現象は起こらないと考えられている

眼球や口内などの水分はたしかに液体の状態を保つことができないであろう。だが、血管内部は密閉されており、心臓の働きによって血液は圧力を維持しているため、宇宙空間に裸一貫で放り出されても血液が瞬時に沸騰することはない。

真空にさらされた人物は、やはり窒息死で死亡する可能性が高そうだ。

ただし、宇宙空間で息を止めることはオススメできない。急激な減圧によって高圧環境で血液中に溶けていた窒素が気泡となり、肺塞栓を引き起こす「減圧症」が第二の死因となりうるからだ。

NASAが発表した「Bioastronautics Data Book」(生物宇宙学データブック)によれば、9~11秒ならば十分に意識を保てるとのことなので、他のチームメンバーに素早く救助してもらえば助かるかもしれない。

余談だが、宇宙空間に放り出された人が絶対零度に近い環境ゆえに凍死する、といった描写が見られる作品もあるが、凍死が死因となることもないと考えていい。大気がほとんどない宇宙空間は熱のやり取りが行われづらく、体が凍結するまでには相当の時間がかかるからだ。

ブラックホールの名付け親はホイーラーではない

ブラックホールという天体の概念を初めて提唱したのは18世紀のイギリスの科学者、『ジョン・ミッチェル』だと言われている。

彼は「太陽と同じ密度を持ち、その500倍以上の質量を持つ天体ならば光が脱出できないほど重力の強い暗黒の星が出来上がる」と学術雑誌に寄稿した。これは現代のブラックホールと同じような発想である。しかし、このころにはまだ決まった呼び名などなかった。そもそもこんな極端な天体が存在するとは発案者当人も考えていなかったらしい。

ブラックホールという単語が最初に登場したのは1964年1月18日、「サイエンスニュースレター」という雑誌に掲載された「Black holes in space」という記事だ。

この記事を執筆したのはジャーナリストの『アン・ユーイング』なので「何人たりとも出られない黒い星」に「ブラックホール」の名を与えたのはこの人ということになる。

また、よくある誤解としてアメリカの物理学者『ジョン・ホイーラー』がこの単語を発案したとする説があるが、ホイーラーが使い始めたのは1967年以降であり、本人も自身が命名者だと主張したことは一度もないらしい。

宇宙服を再利用して作られた衛星がある

2006年にISSから投棄された宇宙服衛星『SuitSat-1』(credit : ISS Expedition 12 Crew, NASA)

宇宙恐怖症の方ならば思わず背筋がゾワッとしてしまうこの写真。実は合成などではない。

これは廃棄予定の宇宙服に魔改造を施し、衛星に生まれ変わらせたものをISSから撮影した写真(つまりは本物)だ。

耐用年数を超過し、本来ならばゴミとして大気圏へ投棄する予定であったロシアのオーラン宇宙服に無線送信機、センサー、リチウムイオン電池などを搭載して完成したのが宇宙服衛星『SuitSat-1』だ。もちろん中に人が入っているわけではない。

『SuitSat-1』は2006年2月3日にロシアのヴァレリ・I・トカレフ氏によってISSから放出され、送信機から6か国語のメッセージが受信できるようになっていたという。

ところが、『SuitSat-1』は地球を2周ほどした後、出力が急激に低下した。これはリチウムイオン電池が凍結したことが原因と考えられている。

その後、無線送信器の発熱により信号の送信を再開したが、AMSAT(米国アマチュア衛星通信協会)によると、2006年9月7日ごろに大気圏に突入して燃え尽きてしまったようだ。

『SuitSat-1』のデータを踏まえて、『SuitSat-2』のプランが浮上しているが実現には至っていない。

ISSに納豆を持ち込む計画があったが却下された

宇宙食は、宇宙飛行士が無重力環境下で効率よく栄養を摂取できるよう、また過酷な宇宙での任務における数少ない娯楽として重要な役割を担っている。

そのため、バリエーションも豊富で、加水食品(スープ、ご飯、オレンジジュースなど)、自然形態食品(ドライフルーツ、ナッツ、お菓子類)、生鮮食品(新鮮な果物、野菜、パンなど)とかなり充実している。日本の食品が公募され、承認されることもある。

しかし、それでも食品の性質によってはNASAの審査によってはじかれてしまう。

かつて、毛利衛宇宙飛行士が宇宙食として納豆を提案したことがあったが却下された

理由は「納豆の糸が精密機械の間に入り込み、故障の原因になることが危惧されたから」と言われている。ただ、匂いの問題はクリアしていたらしい。

ダイヤモンドでできた星が存在する

ダイヤモンドは結婚指輪などに使用されるほど高価なものだ。地球上で採掘される量が限られていることがこの石ころに価値を与えている。しかし、宇宙は広い。私たちの想像をはるかに超える組成をした惑星は数多く存在している。

かに座55番星e」は地球から約40光年離れた場所に位置する系外惑星だ。地球の2倍の直径と7.8倍の質量を持っている。分類的には「スーパーアース」に位置付けられる。

主星に近すぎるため、表面温度は1760℃、内部の温度は2150℃にものぼる。生命の気配など微塵もない地獄のような環境だが、これはダイヤモンドを生成するにはうってつけの環境だ。

コンピューターモデルを用いた推測によると、この惑星の下にはダイヤモンドでできた厚い層が形成されており、その質量は地球3個分、金額にして2700兆ドルにもなるそうだ

表面を覆っているのもグラファイトのような柔らかい炭素であると考えられている。軽く掘っただけでも簡単にダイヤモンドの層にたどり着けるだろう。

ちなみに、この惑星の他にもダイヤモンドが豊富な惑星は存在しており、『BPM 37093』(通称ルーシー)と呼ばれる惑星は内部のほとんどがダイヤモンドに変質している。地球では貴重なダイヤモンドも宇宙ではあまり珍しくないのかもしれない。

宇宙には星がほとんどない空っぽの空間がある

宇宙の物質はすべからず分散しており、その拡散度合いも一様ではない。

私たちの住む天の川銀河も中心付近に物質が集中しており、外側ほど密度が低くなっている。さらに引いた視点で見ると、無数の銀河がお互いの重力で集まって一つの集団を形成している。これは「銀河団」と呼ばれている。当然その分布もばらつきがある。

さらにスケールを広げると、この銀河団も宇宙の構造の一端にすぎず、さらに大きな集合体が網目状に連なっている。これは「超銀河団」と呼ばれている。この超銀河団もまた、宇宙の一部に過ぎないのだが、キリがないので割愛する。

観測技術が発達すると、この構造の内側に約1~1.5億光年以上にわたって銀河どころか物質がほとんど存在しない”空っぽ”の空間があることが明らかになった。この空間は「超空洞」(ボイド)と呼ばれている。超銀河団はボイドを取り囲むように存在している。

こうした宇宙の大規模構造物はビッグバン初期の物質密度のムラが成長してできたものだと考えられおり、今後も宇宙の膨張に従って拡張を続けていくだろう。

宇宙が膨張しても銀河が膨張するわけではない

宇宙は高温高密度の火の玉から始まり、それが急速に膨張したことで現在の姿が形作られた。

宇宙が膨張しているということは空間同士の距離が徐々に徐々に離れていることを意味する。こう聞くと太陽系の天体や銀河をもいずれはバラバラになってしまうと考えるかもしれない。だが実際にはそのようなことは起こらない。

重力は4つの力(強い力、弱い力、電磁力、重力)の中で最も弱いとされているが、それでも恒星や銀河クラスの質量をもつ物体に働く重力は、宇宙膨張による空間の引き延ばし効果よりも大きい。

よくある宇宙のたとえ「レーズンパン」を想像してもらえばわかりやすいだろう。宇宙の膨張をオーブンの中で焼かれているレーズンパンに置き換えたもので、パン(宇宙空間)は膨張するが、レーズン(銀河系)はお互いの距離が離れていくばかりで各々はあまり膨らまない(本来の使い方ではないかもしれない)。

宇宙が引き延ばされる膨張速度はハッブル定数と呼ばれ、その速度は73.4±0.4(km/s/Mpc)と測定されている。これは1Mpc=326万光年あたり秒速73.4kmの速度で引き延ばされていることを意味する。

しかし、これを天の川銀河(約10万光年)に当てはめると2.4km/sほどの小さなものとなる。天の川銀河は210km/sの超高速で回転しながら、それに伴う遠心力で中心方向に引かれる力と釣り合いながら形を保っている。したがって、銀河スケールの膨張効果ならば無視することができる。

このように、銀河同士の距離が開くことはあっても銀河そのものがふくらんでバラバラになることはないのである

だが、それも宇宙の膨張速度次第である。近年では、宇宙は再び加速膨張に切り替わったとする見方も出ており、今後の宇宙のありかたによっては膨張速度が重力を振り切り、原子レベルにまで引き裂かれてしまう「ビッグ・リップ」と呼ばれる終焉を迎える可能性もある。

「一方ロシアは・・」でお馴染みのボールペンは通販で購入することができる。

「無重力化ではボールペンを使えないことに直面したNASAは、何億ドルもの資金を投じ、どんな環境でも問題なく使用できるボールペンを開発した。一方ロシアは鉛筆を使った。」という有名なフレーズがあるが、このボールペンは現在も販売されている

フィッシャーペン社のポール・C・フィッシャーが開発した「フィッシャー・スペース・ペン」は、水中、-35℃から200℃までの温度、そしてどんな角度からでも書ける性能を持っており、無重力空間でも難なくメモをとることができる。

月面着陸を成し遂げたアポロ11号クルーが使用していたモデル『AG-7』は、通販サイトなどで購入することができる。

フィッシャーはボールペン開発にあたってNASAの資金援助を受けていないそうで、自己資本を用いて発明したものをNASAに持ち込んだらしい。NASAは「fisher space pen」を1本6ドルで400本購入した

ちなみに、1969年にロシアもフィッシャー社のスペースペンを採用している。「一方ロシアは…」のフレーズには間違いが多い。

人為的に成層圏に送られた最初の物質は砲弾

人類は空を夢見ていくつもの物質を打ち上げてきた。歴史を紐解けば夢と希望がつまった、はるか上空を目指す試みが数多くでてくる。だが、最初に成層圏まで届いた物質はそんな夢も希望も持っていないものだった。

第一次世界大戦以前、世界では大口径の大砲の研究がなされていた。砲弾を大気の薄い上空まで打ち上げると空気抵抗をほとんど受けずに超長距離砲撃が打てることに着目したドイツ軍は、もはや大砲の枠に収まりきらぬほど巨大な大砲を開発した。

それがかの有名な「パリ砲」だ。当時の皇帝の名をとって「ヴィルヘルム砲」とも呼ばれる。

この大砲から発射された砲弾が人類が意図的に成層圏に送った最初の物質であると言われている

ちなみに、成層圏を超え、最初に宇宙に到達した動物は「ミバエ」。

紙を42回折り曲げると月に届く高さになる。

紙の厚さを0.1mmだとする。その紙を一回折り曲げると、0.2mmとなる。2回折り曲げれば0.4mm。折るごとに厚さは2倍になっていく。計算式になおせば「0.1×2n」となる。回数を重ねるごとに指数関数的に厚さが増加していくことが容易に想像ができるだろう。

地球から月までに距離は約38万kmなので、仮にこの調子で繰り返し折り曲げ続けることができれば、

 0.1×241≒22万km < 月までの距離(38万km) < 0.1×242≒44万km

したがって、0.1mmの紙でも42回折り曲げることができれば、月まで到達できる計算となる。

現在、紙を半分に折り曲げるギネス記録を持っているのは、アメリカ・カリフォルニア州のブリトニー・ギャリバン氏で、長さ1,200mの紙を用いて12回という記録を打ち立てた。また、BBCのテレビ番組が、約3,000mの長さの紙を使用して、一瞬だが、13回折り曲げることに成功している(これは公的な記録ではないため、ギネスには認定されていない)。だが、紙を折る記録はこれが最大で、とても42回には届かない。また、月まで届いた紙の面積は途方もなく小さいものとなる。

この方法で人類が宇宙進出をするのは現実的ではない。