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木星と土星の内部で「ヘリウムの雨」が降っている可能性を新たな実験的証拠が示唆。

物理学者らによる国際的な研究チームが、木星、土星内部でヘリウムの「雨」が存在することを裏付ける実験的証拠を示した。

この可能性は何十年も前から科学者によって予測されていたが、検証に必要な条件を整えることができなかった。今回の研究は長年の予想が正しかったことを示す根拠となりうる。

・研究報告 : Nature | Evidence of hydrogen−helium immiscibility at Jupiter-interior conditions | Correspondence to S. Brygoo or P. Loubeyre.2021.

・Reference : Lawrence Livermore National Laboratory(LLNL)/Scinews

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雨が熱を生んでいる?

過去の研究によって、巨大ガス惑星内部は高温・高圧となっており、惑星の主成分である水素は液体金属水素に、ヘリウムは液滴となって金属水素層を通りさらに中心へ落下していくことが予想された。この現象は雨に似ていることから「ヘリウムの雨」と名付けられた。

木星や土星は太陽から遠いためその恩恵を受けずらい。そのため表面温度(1気圧)は木星で-140℃、土星で平均して-180℃ほどと極めて冷たく厳しい環境となっている。

しかし双方にも夜があるわけで、せっかく太陽から受けたわずかな熱量も宇宙空間に流れてしまい、理論的にはどんどん冷えていくはずだ。だが温度はある程度一定に保たれている。このことから巨大ガス惑星は内部で熱を発生させていると考えられる。

そこで登場するのが、ケルビン・ヘルムホルツ機構だ。木星はこの機構によって毎年2cm程度圧縮し、太陽から受ける熱エネルギーと同等かそれ以上の熱を発し、バランスを保っていると考えられている。だが、木星の熱問題はこれで説明できるが、土星においては不十分で、上記の雨が連続的に降ることによる摩擦熱が寄与しているのではないかとされている。

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プレス!!

今回の実験では、ダイアモンドアンビルセルを使用し、惑星の内部環境を再現した。

ダイアモンドアンビルセルとは材料に極端な圧力をかけることができる装置のことで、惑星深部の極限環境を再現して通常では観測されない物質の挙動を観察することができる。

研究チームは、水素とヘリウムの混合ガスを4Gpaの圧力をかけた後、レーザーエネルギー研究所(LLE)の巨大ビーム12本を使って強力な衝撃波を発射し、最終的には60~180Gpaまで圧縮し数千度に加熱した。

その結果、ヘリウムと水素が別々に分離したことがわかった。高温高圧下では混合物が均衡を保てなくなり、二分されるのである。

「私たちの実験は、長年の予測を実験的に裏付けるものです。今回の実験では、ヘリウムと水素の混合物が不安定になり、混合が解除される圧力と温度の範囲があるという、長年の予測が実験的に証明されました。」と、研究員であるMillot博士は語っている。

「この変化は、水素が金属流体に変化するのに必要な圧力と温度に近い条件で起こり、直感的には、水素の金属化が混合解除の引き金になると考えられます。」

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一歩前進

「惑星の内部構造の解明」は惑星科学の重要な課題だ。技術の進歩によって人類は宇宙に衛星を飛ばせるようになり、天体の姿を鮮明に捉えることができるようになった。

が、内部となるとそうはいかない。事実現在のモデルは外見から推察しているにすぎず、高温高圧化における物質のふるまいも知られていないため、内部構造はいまだ明らかになっていない。そのため本研究はこれらを読み解くうえでとても重要となる。

「私たちは、ヘリウムの雨が実際に存在し、木星と土星の両方で発生することを発見しました。」と、Millot博士は述べている。

「これは、惑星科学者が、これらの惑星がどのように形成され、進化したかを解読する上で重要であり、それは太陽系がどのようにして形成されたかを理解する上でも極めて重要です。」

チームは今後、測定方法を改善し、他の組成の物質にも適応することで、極限環境下の物質の理解を深めることを目標に掲げている。