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系外惑星の大気中からOH分子を検出

WASP-33bのイメージ。以前から酸化チタンのガスなどは検出されていた。

ヒドロキシルラジカル(OH)は地球大気の調節を担う重要な分子です。しかし、他の天体にどの程度存在するのかは不明であり、調査が続けられてきました。その尽力によってこのたび大きな成果が得られたそうです。

自然科学研究機構アストロバイオロジーセンターとクイーンズ大学ベルファスト校が主導した国際的な研究チームは、学術誌「The astrophysical joural letters」に掲載した論文ですばる望遠鏡に新しく搭載された高分散分光器を用いて太陽系外惑星WASP-33bの昼側の大気からOH分子を発見したことを発表しました

・研究報告 : The astrophysical joural letters | First Detection of Hydroxyl Radical Emission from an Exoplanet Atmosphere: High-dispersion Characterization of WASP-33b Using Subaru/IRD | Nugroho et al. 2021

・reference : 自然科学研究機構アストロバイオロジーセンター / universetoday

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極限の環境「ウルトラホットジュピター」

WASP-33bは奇妙な太陽系外惑星です。

2010年に発見されたこの天体は主星のごく近くを周回する「ウルトラホットジュピター」と呼ばれる巨大ガス惑星で、太陽系で例えるならば水星のはるか内側を公転しています。公転周期は地球時間に換算するとわずか1,22日しかありません。

極端に距離が近いため昼間の温度は2,500度を超えます。鉄はおろかほとんどすべての金属が溶けてしまう温度です。

地球とは似ても似つかない過酷な世界ですが、反面その温度故に大気中の化学物質のスペクトルがはっきりと放出されるという特徴がありますまた、赤外線で明るく輝いているため、赤外線での観測が容易になります。WASP-33bは系外惑星の調査に適した惑星なのです。

今回、研究チームはハワイ・マウナケア山山頂、標高4,200mにあるすばる望遠鏡に新たに搭載した近赤外高分散分光器(IRD)を用いて大気中の化学物質を特定しました。

この装置は星から出る波長をもとに元素やそれらからなる分子の吸収線を測定することができます。

惑星が主星の周りを公転すると、地球との相対的な時間が変化します。救急車のサイレンは近づいてくるときには高く、遠ざかるときには低くなります。この現象を「ドップラー効果」といいます。

この現象は光でも起こります。光に場合は音ではなく色が変化するのです。これにより測定されたスペクトルが主星のものか惑星のものか判別することができます。

これまでは、主星の光が圧倒的に強いので選び出すことができませんでしたが、特別な方法をとることによってWASP-33b起因の信号を分離させることができたのです。