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ボイジャー1号は星間物質のかなでる「持続的な音」をきいていた

ボイジャー1号のイメージ画像。credit : NASA/JPL-Caltech

宇宙は非常に静かな世界です。宇宙空間には振動を媒体する物質がないことは常識でしょう。

しかし、完全な無音というわけではないようです。

5月10日に学術誌『nature astronomy』に掲載された論文で、9年間に太陽圏を脱出したボイジャー1号が星間物質に伝わる絶え間ない「波動(プラズマ波)」を観測していたことが報告されました。

持続性プラズマ波(persistent plasma waves)と呼ばれるこの現象は約3年間にわたって単調で狭い範囲の周波数を発し続けているのだそうです。

微弱すぎるこの波長はヒトの聴覚ではとらえることができませんが、仮に聞こえたとしたら「それは単一の音符のように聞こえ、時間とともにわずかに変化するでしょう。」と、本研究の筆頭著者であるコーネル大学の天文学博士課程に在籍するステラ・コッホ・ウォーカー氏は語っています

・研究報告 : nature astronomy | Persistent plasma waves in interstellar space detected by Voyager 1 | Stella Koch Ocker

・reference : Cornell University / NASA/JPL-Caltech / Reuters

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星間空間に到達したボイジャー1号の功績

1977年に打ち上げられたボイジャー1号は、地球から227億Km以上離れた場所を航行しています。

太陽系の外へ向けた壮絶な旅の末、2012年に太陽圏の境界を突破。地球から最も遠くに位置する人工物となりました。現在は星間空間の調査を行っています。

宇宙空間の星と星の間にある空間は完璧な真空ではありません。非常に希薄ではありますが全空間にわたって物質(プラズマまたはイオン化したガス)が広がっています。

銀河の回転や太陽のフレアなどの衝撃波が伝わるとこの物質が振動し、その密度によって音が変化します。この音が太陽系形成の謎や銀河形成を理解するための重要な手掛かりとなるのです

ボイジャー一号は以前にも太陽のフレアによって引き起こされた星間空間の振動をとらえていました。下の動画は太陽圏を出た3か月後から検出され始めた「星間音」です。高音なほど星間物質の密度が高いことを示しています。

色は音の大きさを表しており、赤色に近づくほど高密度となっています。credit : NASA/JPL-Caltech

2012年を境として時折このような音が感知されるようになりましたが、そのペースは年に1回ほどでこれまでプラズマが空間にどれほど分布しているのかを理解することができませんでした。

オッカー氏率いる研究チームは、彼方からゆっくりと届くデータを分析し、断続的に響いている微かな信号(音)を発見しました。これによりチームは非常に範囲の広い星間物質の密度の地図を作製することができたのです。

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一生ボイジャーと更新できなくなる?

信号が何に由来するものなのかはわかっていませんが、この発見は非常に素晴らしいものです。

この研究により、太陽風と星間物質の相互作用をより理解することができます。太陽圏の内側と外側で星間物質の密度が大幅(20~50倍)に異なっていることなども分かっており、これまで評価が困難だった研究分野の発展が期待されています。

しかし、残念なことにボイジャー一号は永遠にデータを収集できるできるわけではないのです。

ボイジャーに電力を供給し続けている放射性元素は少しづつ劣化しており、2025年以降は通信することも困難になると予測されています。

そしてボイジャーは2機とも永久に宇宙を彷徨うこととなるのです。

それでもまだ時間は残されています。ボイジャーが収集したデータは大変魅力的です。

ボイジャー一号の現在位置は下のリンクからチェックすることができるので興味があればぜひ!!

https://eyes.nasa.gov/apps/orrery/#/sc_voyager_1