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人間の脳には死後に活性化する「ゾンビ遺伝子」が存在している

人間が死んだ後も脳の一部は活動を続けることが知られていますが、一部の遺伝子は生物が死んでから活動を開始するようです。

イリノイ大学シカゴ校の研究チームが3月23日、学術誌『Scintific Report』に発表した論文の中で、ヒトが死んでから数時間後に、一部の脳細胞では遺伝子の発現が爆発的に増加していることを報告しました

これらの「ゾンビ遺伝子」は、主に死んだ細胞や細菌などを排除する炎症活動に関与しているとのこと。

人間の体はまだまだベールに包まれているようです。

研究報告;Scienific Report | Selective time-dependent changes in activity and cell-specific gene expression in human postmortem brain | Corresponding authors : Fabien Dachet or Jeffrey A. Loeb

reference : Univercity of illinois chicago / new atlas

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死の条件とは

いかなる条件をもってその生物が死んだと解釈するのか、その定義や条件は人によって異なりますが、わたし達は「心臓の停止」を一般的に死とみなしています。

そのため、多くの科学的研究では人の心臓が止まると脳のすべてが停止することを前提に研究が行われています。

しかし、生命活動の停止は人体の死と同義ではありません

生命活動を止めた生物の体では様々な化学反応が起こっています。それらは死後硬直や死後凝血、死冷などの形で現れます。(=死後変化

これらの変化は死体が分解される過程で発生するものですが、だからといってすべての細胞が示し合わせたかのように突然止まることはありません

人の死後数時間から数日の間に活性化する遺伝子が少数ですが報告されています。中には「生物の死後、数百もの遺伝子にスイッチが入る」という研究も発表されました。

これらの研究は非常に興味深いものです。ですが、あくまでも動物モデルの遺伝子の焦点を当てたもの。

マウスを用いた実験結果とヒト臨床の結果には大きな乖離が存在しているため、ヒトの肉体でも同じようなことが起きているという確証は得られません

今回、研究グループはヒトの脳組織に注目して死後の遺伝子発現を分析しました。

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人工的に死を再現

ヒトの脳での実験は、アルツハイマー病、自閉症、統合失調症などの疾患を理解するうえで重要なアプローチです。

ですが、生きているヒトの脳組織を研究できる機会は限られており、多くの研究は患者の同意を得て死後に行われ、平均して死後12時間以上の間隔があります。

そのため、すでにmRNAや特定の遺伝子集団が分解されたあとであったり、遺伝子発現や細胞活動を考慮していないことをグループは指摘しています。

新鮮なヒトの大脳新皮質は貴重ですが、てんかんや脳腫瘍など脳の一部を摘出する必要のある患者から得ることができます。

死が遺伝子に与える選択的な影響を理解するために、研究グループはヒト大脳新皮質を室温(24℃)で放置し、0~24時間時点での転写産物の発現量を調査しました。

実験の結果、解析対象となった遺伝子の約80%は24時間にわたって安定しており、発現量はあまり変化していないことがわかりました。

この中には基本的な細胞維持に関連するハウスキーピング遺伝子も含まれています。

しかし一方で、一部の遺伝子は時間の経過とともに発現量が劇的に増加していることが確認されました

これらの遺伝子は生物の「死」を境に活性が増すもので、グリア細胞と呼ばれる損傷を受けたニューロンを除去・修復など多様な役割を担う脳内の免疫細胞と密接に関係しているものです。