Electigmaについて

小惑星の表面サンプルから地球上の生命に欠かせない有機物が発見される

いかにして地球は生命を育むに至ったのか、その手掛かりがつかめるかもしれません。

イギリス・ロンドン大学を構成するカレッジの一つロイヤル・ホロウェイは3月4日、新たに発表した論文の中で、太陽系内から帰還した小惑星のサンプルの表面から水と生命の要素となる有機物を発見したと報告しました。

地球上の生命の前駆体となった可能性のある原材料物質が小惑星から発見されたのは、これが初めてのことです

研究報告:Scientific report | Organic matter and water from asteroid Itokawa | Queenie Chan.et.al

reference :Royal Holloway, University of London

via : futurism / phys

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小惑星イトカワを探る

今回、調査の対象となったのは2010年に小惑星探査機『はやぶさ(初代)』が『イトカワ』から持ち帰ったサンプルでした。

イトカワは、地球近傍小惑星の一つで、2つの大きな塊がくっついたような形状をしています。(ピーナッツを想像してもらえればわかりやすいかもしれません。)

近年の研究によって、イトカワは外からの物質や水を取り込んで変化し続けてきたことが予測されており、かつては大型の天体だったものが幾度も衝突を繰り返し、極度の加熱、脱水、粉砕にさらされた後、再構築されたラブルパイル小惑星だと考えられています。

その起源は古く、微粒子を精査した研究によると約46億年前に結晶化した鉱物が見つかっており、太陽系が誕生して間もないころの痕跡が残っている可能性があるため、研究が進められています。

研究グループは『アマゾン』という愛称で呼ばれるイトカワの粒子(最大幅約30 µm、長さ50 µm)をラマン分光法や走査型電子顕微鏡を用いたX線照射などの方法で分析しました。

なお、サンプルと接触するすべてのツールは事前に500℃で10時間の滅菌処理を施しているとのこと。

分析の結果、原始的な有機物(加熱されていないもの)と加工された有機物(加熱されたもの)が発見されました。両者はわずか10ミクロン以内という非常に近い距離に存在していたといいます。

加熱された有機物とそうでない有機物が近くにあるということは、小惑星が宇宙をさまよい、衝突を繰り返している間に前後で有機物を拾ったことを意味しています。

つまり、イトカワ飛散前の母天体で衝突が起こり、十分に冷えた後で何らかの形でイトカワ表面に有機物が降り注いでいたようなのです。

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わたし達の原材料となった可能性

この分析結果は今後の小惑星探査戦略に影響を与える可能性があります。

過去に行われた生命の痕跡を捜索するプロジェクトでは「炭素質コンドライト」または「C型小惑星」に焦点が当てられていました。(2020年に地球に帰還した『はやぶさ2』が探査した『りゅうぐう』もC型小惑星です。)

これは「生命の起源には炭素が関係している」という理論に基づいたもので、炭素を主体とした小惑星はほかの小惑星よりも生命の痕跡が存在している可能性が高いとされているためです。

ところが、今回のサンプルが採取された小惑星イトカワはS型小惑星(Sは主成分であるケイ素質)です。

この事実は、これまでのC型小惑星を主体とした生命の原材料探査に異議を唱えるものです。

太陽系が誕生した当初、小惑星は活発に動きまわり、地球にもたびたび衝突していたといいます。

ひょっとしたら、わたし達はS型小惑星の有機物を起源として誕生したのかもしれません。