Electigmaについて

地球の極地で「スペース・ハリケーン」が発見される。雨の代わりに電子が降り注ぐ!

ハリケーンは、下層大気で発生する強力な熱帯低気圧です。

激しい風・雷雨を伴うことが多く、毎年のように発生しては各地に甚大な被害をもたらしています。

では、地球上層の場合どうなのでしょうか。下層と同様の現象が起こっているのでしょうか。

下層とは違い、太陽からの高エネルギー荷電粒子により発生したイオン化ガス(プラズマ)と地球磁場が支配する世界です。

この場所にハリケーンが存在している場合、太陽ー地球間の物質の移動効率が大幅に向上することが予想されています。

そのため、長らく研究者の関心の的となっていましたが、広大な範囲と観測技術の限界から詳細な調査が行えず、その存在が確認されることはありませんでした。

ところがこのほど、中国・山東大学を中心とした国際的な研究グループが2月22日、学術誌『nature communications』に発表した論文の中で、北極点から数百キロ上空に新しいタイプの宇宙気象現象を発見したことを報告しました。

それによると、地球の極地のはるか上空では、下層で見られるものと同じ原理でハリケーンが存在しており、水の代わりにプラズマをまき散らし、オーロラを増強しているとのこと

研究報告:nature communication | A space hurricane over the Earth’s polar ionosphere | Qing-He Zhang.et.al

reference : Shandong University

via : IFLscience / eurecalert

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地球上層の嵐

この課題を攻略するために、研究グループは国内外の衛星から得られたデータを収集。

太陽風と電離層との相互作用をシミュレーションできる磁気流体力学モデル(PPMLR-MHD)を作成し、過去の地球上層の気象現象を探りました。

データには、月周回衛星、アメリカの防衛気象衛星、イリジウム衛星の磁力計などが含まれています。

すると、研究グループは2014年8月20日の北極磁極付近の電離層に、幅1,000キロを超すハリケーンのような渦巻き状のオーロラ構造を発見しました

この現象は8時間にわたって確認され、その後オーロラオーバルに合流する形で消滅しました。

これらの特徴がハリケーンや台風に似ていたことから、研究者はこの現象を「The space hurricane(スペース・ハリケーン)」と名付けました。

また、当日の極冠ではスペース・ハリケーンが降らせたプラズマによってオーロラが観測されていたといいます

通常、磁場の弱い極冠領域では目立ったオーロラは発生しません。

「これまで、スペース・ハリケーンが存在することすら不確かだったため、このような印象的な観測で存在を証明することは信じられないことです。」と、イギリス・レディング大学のマイケル・ロックウッド氏は説明しています。

「熱帯気象は膨大なエネルギーとの関係性が知られています。現象は太陽の高エネルギー荷電粒子が地球上層大気に急速に移動することで発生したに違いありません。」

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ほかの惑星でも同様の現象が存在している?

ハリケーンと聞くと、地球のみで発生する現象と思うかもしれませんが、実は太陽系の惑星では一般的な現象です。

火星、木星、土星でも規模は違いますが、下層と同様のハリケーンが確認されており、他の惑星でも同じ現象が起きている可能性が本研究によって示唆されました。

しかし、この構造によって引き起こされる宇宙気象は夢があると同時に脅威でもあります

無線通信や測位、人工衛星システムは現在の社会の重要なインフラであり、プラズマなどで妨害された場合、地球規模で影響が発生する可能性があります。

これらの気象が及ぼす影響の調査とその対策が今後の課題となるでしょう。