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ヒトの腸から14万種のウイルス種が発見される 半数以上が新種

ヒトの体を構築している細胞の数は数十兆個ほどですが、体内にはそれをはるかに上回る数の細菌が存在しています。

その数なんと100兆個~1,000兆個。

想像するだけでもゾッとしますが、イギリス・ウェルカム・サンガー研究所が2月18日、生物情報誌『cell』に発表した論文によると、わたし達の体内には細菌だけでなく、ウイルスも大量に生息しているようなのです。

研究グループは28カ国から採取された28,000個以上の腸内細菌叢(腸内フローラ)サンプルをカタログ化。

その結果、ヒトの腸内から約14万種のウイルスを発見し、そのうち半数がこれまで知られていなかった新種であることを報告しました。

グループの一人であるアレクサンドル・アルメイダ博士は

「すべてのウイルスが有害なものではなく、腸の生態系の不可欠な構成要素であることを覚えておくことが重要です。」

と、説明しています。

「第一に、我々が発見したウイルスのほとんどはDNAを遺伝物質として持っており、これはRNAウイルスであるSARS-CoV-2やZikaのような、ほとんどの人が知っている病原体とは異なります。

第二に、これらのサンプルは主に特定の病気を共有していない健康な人から採取されたものです。私たちの腸内には多くの未知の種が生息しており、それらの種と人間の健康との関連性を解明しようとしているのは魅力的なことです。」

研究報告:cell | Massive expansion of human gut bacteriophage diversity | Luis F. Camarillo-Guerrero.et.al

reference : wellcome sanger institute / via : sciencealert | scinews

  

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敵?味方?ヒトと共生しているウイルス

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が世界的な広がりを見せる昨今。何かと悪者にされがちのウイルスですが、中にはヒトと共生関係を築き、免疫に多大な影響を与えているものも存在します。

今回発見された新種の大半を占める「バクテリオファージ」もその一つです。

バクテリオファージ(bacteriophage)とは、細菌に感染して増殖するウイルスの総称です。バクテリオが『細菌(バクテリア)』、ファージが『食べるもの』という意味です。

腸内に存在するバクテリオファージは、細菌の撃退・調節を行う重要な役割を担っており、このバランスが崩れると疾患の発症につながるなどヒトの健康に密接に関わっていることが知られています。

ですが、この分野の知見は腸内細菌やバクテリオファージ種への理解が行き詰ったことで、ある種の限界を迎えていました。

近年のゲノム解析の進展に端を発する今回の研究は、そんな限界を打ち破り、腸内におけるウイルスの多様性を示しています。

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見つかったのは分岐が異なるバクテリア

数万種のウイルス群の中で最も高頻度で見られたのは、共通の祖先をもつとされる新たなグループで、『グバファージ(Gubaphage)』と名付けられました。

当初、グバファージは同じ腸内細菌グループであるクロスアセンブリファージ(crAssphage)と似たタイプに属しているのではないかと考えられていましたが、実際には異なるクレードだったようです。

また、グバファージはクロスアセンブリファージに次いで、ヒトの腸内で2番目に一般的なウイルス・クレードであるとのこと。

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ヒトの体は微生物だらけ

わたし達の体の中にはグバファージだけでなく、他の未知のウイルスも数多く存在しています。

しかし、必要以上に警戒する必要はありません。

前述したように、ヒトにとって有益なウイルスも数多く存在しており、最近では技術革新でより詳細な調査も行えるようになりました。

今後、さらなる研究によりグバファージの正確な影響が明らかとなるでしょう。

ウェルカム・サンガー研究所の微生物学者トレバー・ローリー氏は「バクテリオファージ研究は現在、ルネッサンスを迎えています。」と、語っています。

この高品質で大規模なヒト腸内ウイルスのカタログは、将来のウイルス研究における生態学的・進化学的分析の指針となる青写真として、適切なタイミングで提供されています。