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重力波により検出された「観測史上最大のブラックホールの衝突」は仮説上の天体によって引き起こされたかもしれない

宇宙の謎がまた一つ明らかになるかもしれません。

香港・香港中文大学を含む国際的な研究チームは2月24日、科学誌『PHYSICAL REVIEW LETTERS』に発表した論文の中で、「観測史上最も重いブラックホールの衝突」により発生したとされる重力波が、実際にはボソン星というボース粒子で構成された未知の天体の合体により発生した可能性を報告しました

研究報告:PHYSICAL REVIEW LETTERS |

GW190521 as a Merger of Proca Stars: A Potential New Vector Boson of 8.7×10⁻⒔eV. | Juan Calderón Bustillo.et.al.

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理論上あり得ない存在「GW190521」

2019年5月21日、重力波観測機LIGO(ライゴ)とVIRGO(ヴィルゴ)は、異常なブラックホール同士の合体により発生した重力波を観測しました。

GW190521」と名付けられたこの信号を発生させたブラックホールは、それぞれ太陽質量の約65倍と約85倍であり、重力波によって検出されたものとしては過去最大のものでした。

合体後のブラックホールは太陽質量の約142倍。その過程で太陽質量の約8倍のエネルギーが重力波に変換され宇宙空間に放たれたと考えられています。

異常といわれる要因は、発生源となったブラックホールの大きさにあります

自らエネルギーを作り出せなくなり、重力に逆らう力がなくなった天体は、自重に負けてどんどん内側へ潰れていきます。

このとき、一定以上の質量をもち、限界まで内圧が高まった星は超新星と呼ばれる爆発現象を起こした後、残った核が際限なく収縮することでブラックホールが形成されます。

ブラックホールの質量は太陽質量の約4倍~約410万倍とかなりの開きがあります。

その一方で、太陽の65~125倍の質量をもつブラックホールは形成できないとなされています

これはこの範囲のブラックホールを形成する天体の場合、対不安定型超新星というさらに大規模な爆発現象が発生するため、星が跡形もなく吹き飛んでしまい、ブラックホールを形成できないと考えられているためです。

にもかかわらず、GW190521の元となった2つ(特に85倍)のブラックホールはこの範囲に収まっています。現在の理論では説明できない質量をもったブラックホールというわけです。

この発見は、中間ブラックホールの存在を観測した初めての事例として称賛され、歴史的快挙と評されました。

しかし、その起源に疑問を呈する研究チームが現れました。

彼らは、この信号はブラックホールの衝突ではなく、ボース粒子により構成された仮説上の天体「ボソン星」の合体により発生したものだと主張したのです