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約35億年前の岩石から「生命の燃料」となった可能性のある有機物が発見される

まだ、オゾン層のバリアもなく、有害な宇宙線が容赦なく降り注ぐ原始地球。

過酷な環境のなか、熱水噴出孔が乱立する熱水活動域と呼ばれる深海底で最初の生命は誕生しました。

ですが、初期の生命の生息地に栄養源となる有機物が存在していたという痕跡は見つかっていませんでした。

そんななか、ドイツ・ケルン大学の研究チームは2月17日、学術雑誌『Nature Communications』に発表した論文で、35億年前の岩石から初期の微生物たちを支えた可能性のある有機物を発見したと報告しました

研究報告:Nature Communications / Ingredients for microbial life preserved in 3.5 billion-year-old fluid inclusions / Mißbach et al.

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物質から生命に

約46億年前、惑星としての地球が誕生し、その後、徐々に冷やされたことで液体の水が保持できるようになり、長い年月をかけて原始海洋が誕生したと考えられています。

しかし、地球の重力によって、太陽系初期に存在したと考えられる大きさ数キロ程度の小天体(=微惑星)が衝突し、幾度となく蒸発と再構築が繰り返されていたとされています。

そして、微惑星の衝突が少なくなった約40億年前、最初の生命が誕生したと考えられています。

広く受け入れられてる仮説は、初期の生物は原始地球から噴出する水素や硫化水素をエネルギー源として利用していたというものです。

しかし、世界中の研究者が長い間調査を続けてきたにもかかわらず、生命の出現を証明する岩石内では発見されていませんでした。

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初期の生命の燃料

この謎を解き明かすべく、チームは西オーストラリア州・ピルバラクラトンに存在する35億年前の層ドレッサーフォーメーションから採取されたバライト(重晶石)の介在物を調査しました。

バライトは、硫酸バリウムからなる非金属性の鉱物です。

これらは、熱水鉱脈や温泉地帯で産出されるため、熱水噴出孔付近でも産出されていたとチームは仮定しました。

また、ドレッサーフォーメーションからは、微生物が安定した環境に固まって増殖した痕跡である「微生物マット」が見つかっており、古代の熱水噴出孔の環境が記録されています。

研究者らは、ガスクロマトグラフィー質量分析(GC-MS)、マイクロサーモメトリー、および安定同位体分析などさまざまな方法を組み合わせてバライトを分析しました。

その結果、二酸化炭素や硫化水素などのガスに加えて、有機化応物である酢酸、スタファン、チオールなどが検出されました

これらの化合物は、初期の生物の代謝過程において重要な役割を果たした、潜在的な「生命の源」の可能性があります。

検出された有機化合物が既知の原始微生物と関係しているのか、正確に検証するのは不可能かもしれません。

しかし、バライト鉱床とドレッサーフォーメーションが隣接していることから、バライト内部に保存されていた有機物は熱水噴出孔から産出されたものであり、地球上の生命の起源に重要な役割を果たしていた可能性があります

「地下から出現した原始分子と微生物生物との直接的なつながり(今日より35億年前)は、私たちを驚かせました。この発見は、いまだに不明な生命の初期進化の歴史の理解に決定的に貢献しています。」と、ヘルゲ・ミスバッハ博士は説明しています

reference : Sciencealert / the University of Cologne