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42,000年前に起こった「地磁気の弱体化」の詳細がようやく明らかに

地球のN極とS極が入れ替わる現象は「地磁気逆転」と呼ばれており、地球史を紐解くとかなり頻繁に起きています。

これは、地球の地下深くを胎動する鉄とニッケルによって引き起こされることが推察されていますが、それが地球上の生命にどのような影響を与えているのかは謎のままでした。

ところがこのほど、オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学を中心とする国際的な研究チームの新たな研究により、古代の遺物から地磁気逆転が引き起こす環境の変化を詳細に分析することに成功しました。

それによると、この変化は「破滅的」なものであり、初期の人類であるネアンデルタール人も巻き込まれた可能性があります。

研究報告 : Science / A global environmental crisis 42,000 years ago

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地球史は樹木に記録されている

地球の磁極がたびたび反転していることはすでに多くの研究者よって確認されています。

研究により、最後の完全な逆転は約77万年前に発生したことが地質学的な証拠により明らかとなりました

しかし、地磁気逆転(ポールシフト)以外にも地球の磁場が変化することがあります

なかでも重要とされているのが、約41,000年前の氷河期末期に発生した地球の磁気が不安定になる「地磁気エクスカーション」(=ラシャンプ・イベント)です。

このとき、磁場が弱まる期間(=アダムズイベント)が500~1,000年ほど続いたとされ、生命に深刻な影響を与えたと考えられています。この現象は現在も徹底的な研究が進められています。

ですが、研究者たちはイベントが発生した年代は知っていても地球環境にどのような影響を与えたのかを正確には知りませんでした。

そこで今回、研究チームは2019年にニュージーランドで発見された古代の樹木「カウリ」を分析。年輪を調査することで地磁気の崩壊が生物に与えた影響を明らかにしようと試みました

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古代の木と宇宙からの放射線

カウリの木は、ニュージーランド北部にのみ自生する世界で最も古いタイプの樹木です。

かなり成長の遅い種であり、それゆえに長寿でもあります。樹齢1.000年を超える個体も珍しくありません。

また、カウリの祖先はジュラ紀に遡れるほど歴史が古い種でもあります。

チームは、沼地に保存されていた40,000年以上前のカウリの木に放射性炭素年代測定を実施。

その結果、42,000年前に樹木の放射性炭素14cレベルが大幅に上昇していることが判明しました

炭素14は、宇宙を飛び交う高エネルギーの放射線が成層圏と衝突することで生成される元素です。

この元素は、地球から生み出されたものではないため非常に数が少なく、通常、大気中の存在比率は変わらないはずです。

しかし、何らかの要因で磁場が弱まった場合はその限りではありません。

これらのことから、研究チームは、地磁気エクスカーションによって磁場が失われたことで、より強力な放射線が地球を襲った結果である可能性が高いと推察しています