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特殊な元素「アインスタイニウム」の基本的な物理的特性が明らかに

もっとも重く、希少な元素の1つである「アインスタイニウム」の測定が行われ、性質の一部が明らかになりました。

これにより、存在が確認されている原子よりも重い領域にさらに安定した元素が存在する、いわゆる「安定の島」の発展に一歩近づきました。

研究報告:nature ”アインスタイニウム錯体の構造的および分光学的特性”

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究極の元素アインスタイニウムとは?

99番元素アインスタイニウム(Es)は、プルトニウムやウランなどの放射性元素を含んだアクチノ二ド系のメンバーであり、有名な物理学者であるアインシュタインにちなんで名付けられた元素です。

その特性、性質を物理学者はほとんど知りません。

なぜなら、製造するのが非常に困難な上に、半減期が1年未満と短いためです

アインスタイニウムは1952年の水爆実験の灰の中から初めて同定され、その後、研究用原子炉で合成された僅かな試料を分析することでいくつかの物理的特性が明らかとなりました。

しかし、副産物(カリホルニウム)との分離が困難、長期間の保存ができない、高い放射線を放つなどの理由から、これまでほとんど研究が行われることはありませんでした。

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研究すら困難

今回、アメリカ・ローレンス・バークレー国立研究所の研究チームは、純粋なアインスタイニウム約200ナノグラムを収集。1970年代以来となる元素の基本的性質の調査を開始しました。

このサンプルはオークリジッジ国立研究所の高中性子束同位体生産用原子炉で合成されたもので、この元素を製造できる世界でも数少ない場所の1つです。

研究チームは、高い放射線から身を守りつつ元素の測定を行い、アインスタイニウムの結合距離(原子核間の距離)とアクチノイド系列とは異なる物理的な振る舞いを初めて明らかにしました。

グループのリーダーであるアベルゲル氏は、

「これだけの少量の材料で無機化学を行うことができたことは、驚くべき成果です。化学的な振る舞いについての理解が深まれば深まるほど、新材料や新技術の開発に応用することが可能となるかもしれません。」

と述べています。

残念なことに、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で研究が中断されてしまい、再開の許可が降りたときにはサンプルがほとんどなくなっていました。

このような障害にも関わらず、チームは多くの特性を明らかにしてくれました。この研究は、将来的なアインスタイニウムの合成難易度を容易にする可能性があり、未発見の119元素ウンウンエンニウムの同定に繋がる可能性があります。

「この論文全体が不幸な出来事の長い連続です。」とアベルゲル氏はコメントしています。

reference:Livescience/Berkeley Lab