一部のバクテリアにも約24時間周期の体内時計が備わっていることが判明

枯草菌の画像。©ÁkosKovács教授/ デンマーク工科大学

生命と周期は切っても切れない関係にあります。

わたし達にも約25時間周期の概日リズムが存在しており、睡眠と覚醒のタイミング、さらには深部体温や認知機能の調節を可能としています。この『生物時計』は自然界全体で広く活用されており、動物、植物、真菌類など、他の多くの生物にも存在が確認されています。『生物の支配者』といっても過言ではないかもしれません。

バクテリアが概日リズムの影響を受けているのかどうかは不明でした。過去の研究により、光からエネルギーを生成するシアノバクテリアや他の光合成細菌は実証されていますが、光の当たらない地中に生息しているバクテリアにも備わっているのかどうかは謎のままでした。

しかし今回、ドイツ・マクシミリアン大学の研究チームにより、一部の非光合成細菌は光量や温度変化を合図に1日のサイクルを開始しているだけでなく、他の非光合成細菌でもわたし達のような概日リズムを備えている可能性があることが判明しました。

ミクロの世界の時間間隔

研究チームは、土壌や植物など自然界に広く分布し、ヒトの消化管にも生息している枯草菌に注目。枯草菌は光合成を行わない非光合成細菌ですが、青色光受容体を持っているため光に敏感であり、これまでの研究から光や温度などの外部環境を合図にリズムを繰り返していることが示唆されています。

さらにチームは、PASドメインをもつタンパク質をコーディングする2つの遺伝子、KinCYtvAに焦点を当てました。YtvAは概日リズムに関与している青色光受容体であり、KinCはバイオフィルムの発達や胞子形成などのプロセスを調節しています。著者らは一部の真菌では胞子形成が生体時計によって制御されていると説明しています。

調査のために研究者らは24時間のサイクル(12時間明/12時間暗)に5日間暴露させたバクテリアと一定期間暗闇に暴露したバクテリアを用いて、遺伝子の発現具合を測定しました。その結果、暗いところではYtvAの発現が増加したのに対し、明るいところでは減少し、明暗サイクルを逆にしたところ発現も逆になることがわかりました。一定期間の暗闇にさらされた場合でも、厳密な24時間ではありませんでしたが周期は継続されていました。

また枯草菌が温度変化を感知している可能性を考慮して、25.5℃で12時間、28.5℃で12時間のサイクルでYtvAの発現を調査したところ、同様の結果が得られたとのこと。

これらの結果を総合してチームは、枯草菌には環境の変化に反応する能力があるだけでなく、24時間に近い周期の概日リズムが備わっていると結論づけました。今回の発見では1種類のみを対象にしていますが、この結果は地球上の約15%を占める生物であるバクテリアの生態の解明に大きな影響を与える可能性があります。

「われわれは、非光合成細菌が時間を知ることができることを初めて明らかにしました。」と、研究チームの1人であるマーサ・メロウ教授声明で述べています。

「彼らは、光や温度環境のサイクルを読み取ることによって、分子の働きを適応させています。」

「医学的、生態学的な疑問に加えて、われわれは概日時計のメカニズムを理解するためのモデルとしてバクテリアを使用したいと考えています。この実験装置は優れており、急速な進歩を遂げることができるはずです。」

いまのところ、チームはこの概日リズムが転写翻訳フィードバックループ(TTFL)代謝サイクルによって動作していると考えています。

「我々の研究は、バクテリア全体の概日リズムを解明するための扉を開くものです。」と、共著者であり、ジョン・イネス・センターの研究員であるアントニー・ドッド氏は語っています。

「非光合成細菌がどのようにしてこれらのリズムを発生させているのかを解明し、リズムを持つことがなぜ細菌に優位性を提供するのかを理解する必要があります。」

いずれにせよ、バクテリアの体内時計が24時間に設定されているということは生物学的理解という観点だけでなく、バクテリアを利用する産業、生物医療、農業用途、その他の用途への利用の可能性に大きな影響を与えるでしょう。

この研究はScienceAdvancesに掲載されました。

consultations:IFLscience/Sciencealert