ワタリガラスは大型類人猿と同じぐらいの認知能力を持っていることが判明

カラスが非常に賢い生物で、他の鳥類とは一線を画することは周知の事実でしょう。

彼らは車を利用して木の実を割ったり、器用に道具を使いこなしてエサを取ることが知られているなどそのエピソードには事欠きません。

そして今回、ドイツ・オスナブリュック大学の研究チームは、生後4ヶ月のワタリガラスはチンパンジーやオランウータンなどの大型の類人猿に匹敵することを明らかにしました。

年齢別にテスト

本研究では、人の手で育てられた8匹のワタリガラスに焦点を当てて、Primate Cognition Test Battery(霊長類認知テストバッテリー)を実施。認知能力をテストしました。

PCTBとは空間記憶、オブジェクトの永続性の推論、数の足し算を理解しているか、人間を観察し、(内外で)コミュニケーションをとれるのかなどが含まれた認知機能検査のことです。

認知テストは、対象となった8匹のワタリガラスがそれぞれ生後4ヶ月、8ヶ月、12ヶ月、16ヶ月の各段階で計4回実施されました。

生後4ヶ月の段階ですでに完成されている

テストの結果、ワタリガラスは足し算や相対的な数の把握が得意であることが明らかになりました。

興味深いことに、この結果は過去に行われた実験で大型類人猿が示した成績と同程度のものでした。

パフォーマンスは8匹全てで共通していなかったものの、平均して高い成績を叩き出しています。

この結果を以前の研究で収集した106匹のチンパンジーと32匹のオランウータンの成績と比較したところ、苦手科目である空間把握を除けば、生後4ヶ月の段階で大型類人猿と同等のパフォーマンスを示したとのこと。

さらに驚くべきことは、ワタリガラスの認知能力は4ヶ月時点でほとんど完成されており、その後、年月を重ねても大きな変化が見られなかったことです。

これは、ワタリガラスの認知能力が発達する速度がかなり速く、体が完全に成長しきっていない子供の段階ですでに高い認知能力を有していることを意味します。

また、生後4ヶ月というと野生のワタリガラスは親元を離れ、自立する年齢らしく、こうした高度な能力は仲間とコミュニケーションを取り、協力することで急速に変化していく環境を生き抜くために発達した可能性があるとのこと。

しかし、研究チームは特定の鳥類には大型類人猿と同様の能力を持っていることは認めている一方で、このスキルをすべての鳥類が持っているわけではないと注意を促しています。

研究を主導したシモーネ・ピカ氏は、サイエンティフィック・アメリカンの取材に対し、今回使用した個体が野生個体でなかった点に留意すべきであるとした上で「人間以外の生物における認知能力の進化を研究するためには今回のような幅広いテストをもっと多くの種で実施する必要がある。」と語っています。

参照:iflscience/scientific reports