35年間動物園に幽閉されていたゾウ、ついに仲間と再開

「世界で最も孤独なゾウ」と言われているアジアゾウのカーヴァンが、35年間幽閉されていた動物園から開放され、パキスタンから国外へ移送されていたことが動物福祉団体Four Pawsの声明で判明しました。

同動物園は劣悪な環境下で動物を飼育していることがかねてから問題視されており、アメリカの歌手シェールさん(74)などが支援を行い、動物たちの開放を要求していました。

現在、カーヴァンはカンボジアの野生保護区に移り住んでおり、そこでゾウのグループに加わりながら余生を過ごすこととなるでしょう。

カーヴァンの数奇な人生

カーヴァンは1985年に、故郷のスリランカからパキスタン政府へ贈られました。以来、首都イスラマバードに位置するマーガザー動物園の小さな檻の中で飼育されています。

1990年代に、サヘリという女性の仲間ができましたが、そのゾウも2012年に亡くなってしまいました。

カーヴァンは何日も彼女の傍らに居続けたと言われており、ひとりぼっちになってからは毎日何時間も頭を前後に振る行動を見せています。これはゾウが退屈なときに見せる行動の典型で、「精神的な病気を患っているのではないか」と指摘されました。

基本的に、ゾウは群れで過ごし、赤ちゃんが生まれるとすぐに新たな仲間だと認識するなど非常に社交的で理知的な生物です。そのため、人間と同じく劣悪な環境下に単独で置かれると、心身に支障をきたします。

パートナーの死を悼み、孤独に苦しむカーヴァンはいつしか「世界で最も孤独なゾウ」と呼ばれるまでになってしましました。

差し伸べられる支援の手

2016年、狭い檻の中、ひとりぼっちで鎖に繋がれているカーヴァンの写真がSNS上で話題となり、国際的なキャンペーンが立ち上がるとともに、有名なアメリカ人歌手、シェールの注目を集めました。

慈善活動家としても知られる彼女は、以来「世界でもっとも孤独なゾウ」の解放運動に参加。ソ-シャルメディアで#Free Kavaanというハッシュタグを作成し、ロビー活動を開始しました。

また、動物愛護活動家らも2016年頃に20万人分の請願書を集めています。

そして楽園へ

活動家たちのたゆまぬ努力が実を結び、カーヴァンはついに35年間幽閉されていた動物園からカンボジアの野生保護区へと移動することが決定しました。

安全上の問題から鎮静剤を投与できず、長距離を移動させるためゾウがストレスを抱えることが予想されたが、念入りに行った事前準備のおかげか、飛行中は落ち着いた状態だったといいます。

「この数週間、私はほぼ毎日カーヴァンと一緒に過ごし、フランク・シナトラ(アメリカのジャズ歌手)の歌を彼に話したり歌ったりしていました。これは部外者には無茶苦茶に見えるかもしれませんが、それによって私は象と親密な関係を築くことができました。」と、獣医の一人であるAmir Khalil博士は語っています

カーヴァンはカンボジアを去る最後のアジアゾウとなり、今後は野生保護区内にいるゾウのグループと合流する予定です。

credit : FOUR PAWS in the UK/ Free The Wild