仮説上の惑星「プラネット・ナイン」が原始ブラックホールなのかを調査するための画期的な研究が進行中

オールト雲彗星と仮説上の天体との遭遇。credit : M. Weiss

我々が住む地球が属する太陽系には水星、金星、火星、木星、土星、天王星、海王星の8惑星が含まれている。

少し前まで冥王星が「第9惑星」に数えられていたが、月よりも小さかったため惨めにも「準惑星」に降格され、現在「第9惑星」の椅子は空席となっている。

しかし、この空席を埋める未知の天体が存在している可能性が2014年に示唆された。それが「プラネット・ナイン」だ。

この仮説上の天体は質量が地球の10倍程度、直径は2~4倍とされ、太陽の周りを1万年から2万年にわたって公転していると考えられているが現在に至るまで証明はおろか観測すらされていない。

「プラネット・ナイン」は冥王星よりも遠い場所に位置しているため、岩石や氷が主成分だと推測されているが、別の仮説では”超小型のブラックホール”なのではないかともされている。

さらに、ブラックホールだった場合その大きさは最大でも「ボーリングのボール程度」だと計算され、遥か彼方にあるそんな小さな物体の観測は絶望的であると考えられていた。

しかし、このたびハーバード大学の研究チームがこの問題を1年以内に解決できるとする計画を発表した。

これまで「プラネット・ナイン」の存在を確認するのはまだ先の話だとされていたが、計画が成功すれば「太陽系にブラックホールがあるのかどうか」がわかるかもしれない。

そもぞも何故「プラネット・ナイン」の存在が取り沙汰されたのか

credit : wikipediacommons , Tom Ruen

ここまで読んでくれた活字に明るい読者の方々なら「何故そんな惑星が存在していると考えたのだろうか?」と疑問に思ったのではないだろうか。そこを説明する。

現在、太陽系の最も外側に位置している惑星は海王星だとされているが、惑星という枠組みを外せばかなりの数の「岩と氷の塊」が海王星の外側を周回している。

セドナ、バイデン、ゴブリンなどと名付けられたオブジェクトたちは異常に傾いた軌道を描いていることがすでにわかっており、この原因を説明するのに天文学者たちはとても苦労してきた。

そこで「プラネット・ナイン」の登場だ。

天文学者たちは計算の末に、地球質量の5~10倍程度の惑星の重力の影響をうけたならばこのような軌道になる可能性があると結論付けた。

異常な軌道を描くオブジェクトたちとそこから特定された「プラネット・ナイン」の軌道。credit : wired

まあ、冥王星が発見された段階でさらに先があるのではないかとも言われていたし、様々な観測データから「存在する可能性が高い」とされたが未だに光学的な観測にはいたっていない。

では研究チームはどのようにして存在を見極めようとしているのだろうか

次世代を担う「LSST」

前述したように「プラネット・ナイン」はブラックホールだった場合、ボーリングのボールほどの大きさとなります。

冥王星を遥かに超越した距離に加えて、光をまったく発さないオブジェクトを広大な宇宙空間から探し出すのは想像を絶するほどの手間がかかると予想される。

そこでチームは、チリ・パチョン山に建設されている可視光赤外線望遠鏡、「大型シノプティック・サーベイ望遠鏡(Large Synoptic Survey Telescope: LSST)」に注目。

現在建設中のLSSTの断面図。credit : LSST、

この望遠鏡の特徴はその視野の広さにあり、設置場所から観測可能な天域をわずか3日で撮り終える事ができるという破格の性能を誇っている。(建設中のため理論値)

チームは「超小型とはいえブラックホールであるならば彗星の出すチリやガスを吸い込んだ時にフレアが観測されるであろう」と予測している。このフレアは非常に朧気なもので通常の望遠鏡では捉えることができないとされている。

しかし、LSSTならばこのわずかな変化も捉えることができるのではないかと期待されている。

第9惑星発見なるか?

「太陽系の探査」というテーマにおいて、天文学者は古代の人々にある意味で遅れを取っている。

文明が発展し、多くの観測道具が開発されてきたにもかかわらず、古代の人々が知らなかった惑星を2つしか発見されていない。海王星と冥王星だ。しかも冥王星に関しては準惑星への降格処分という散々たる結果となっている。

計画が始動すれば1年以内にフレアが観測されれば、その位置を追跡することにより「プラネット・ナイン」の存在、軌道が明らかとなるでしょう。

ひょっとしたら古代の人々が知り得なかった3つ目の惑星の秘密が近いうちに明らかとなるかもしれない。

参照:CFA /