火星でオーロラのような緑色の光が観測される

火星表面のイメージ画像 credit : esa

地球の極域付近では、宇宙空間から飛来した高エネルギー粒子たちが上層大気と衝突することにより緑色の「オーロラ」が発生しています。

この光の色は衝突する大気成分によって変化しており、酸素密度が多いと「緑色」、低いと「ピンク・紫色」の光を発します。(高度などの要素もあります。)

そして今回、酸素が存在しないとされている火星で緑色の「オーロラのようなもの」が初めて観測されました。これは火星大気中に酸素原子が生み出されていることを意味しています。

火星に酸素はあるのか

実は、このような発光は40年前から存在が推察されていました。

火星の大気は地球とは違い、大部分が二酸化炭素で構成されていますが、それが何らかの要因で分離した場合「酸素」を生み出すことができるため、地球のように発光する可能性が指摘されたためです。

にもかかわらず、これまで火星探査衛星は緑色の発光を検出することが出来ませんでした。

そこでチームは、火星周回探査機(TGO)の向きを「火星を垂直に見下ろす角度」から「火星の端を見るような上向きの角度」に変更しました。

これはISSから地球を撮影する時に、垂直ではなく上向きに角度をつけたほうが発光を鮮明に写すことができるためです。

地球表面の発光。昼夜問わず太陽光との相互作用により光り輝いている。credit : NASA

こうした対策を施したTGOは2019年4月24日から12月1日の間に火星の高度20~400キロメートルを1周回するごとに2回スキャンしました。

その結果、すべてのデータセットで緑色の発光が観測されました。

さらに、このデータをもとに研究チームが火星の大気モデルを作成し、どのようにしてこの光が形成されているのかを調べたところ、以前からの推察通り「二酸化炭素(CO2)が一酸化炭素と酸素に分解されることで発生している」ことが判明しました。

火星の大気を理解することは学術的に興味深いだけでなく、いつか私達が火星に移住するミッションの際に非常に役に立つでしょう。

例えば、大気の密度は火星表面に探査機を送る際のパラシュートなどに影響を与えます。

さらに、2022年には火星にローバーを送り込みサンプルを採取するプロジェクトが控えており、特に重要となるといえるでしょう。

参照:esa / iflscience