Electigmaについて

土星の月「タイタン」が以前の予想よりも100倍速く土星から離れていっていることが判明、将来は宇宙遊泳?

土星を周回するタイタン
土星とそれを周回するタイタン。credit : NASA / JPL-Caltech /宇宙科学研究所

私達地球人の感覚に照らし合わせてみると土星の月「タイタン」は非常に変わった衛星と言えるでしょう。

太陽系の衛星で唯一厚い大気に覆われているかと思えば、地上ではメタンの雨が降り注ぎ、それにより形成された湖や川が地表を覆い尽くしています。(ちなみに表面温度は華氏マイナス290度です。)

このような特異な環境を調査するために天文学者は宇宙船「カッシーニ」を1997年に打ち上げ、以後数十年間にわたって調査を続けてきました。

そして今回、数十年の測定と計算の結果、タイタンの軌道が天文学者たちの予想を遥かに上回る速度で膨らんでいることがわかりました。これはタイタンが土星から離れていっていることを示しています。

スポンサードリンク

実はそれほど珍しくない?

衛星の軌道移動とは何なのかを理解するには私達の衛星「月」を調べるのが一番です。

月は地球の38万キロメートル上空を安定して周回していると教えられた人もいるかも知れません。しかしそれは間違いです。

意外なことに月は毎年3.8センチメートルずつ地球から離れていっているです。ああ、別にそこまで深刻な話でもありません。

月は地球を周回するときに月の引力が地球内部に作用して重力場を歪ませることで、月の拘束が弱まり、離れていっているのですが、数百億年後には釣り合いが取れ、これ以上遠ざかることのない地点に到達する見られているため月が宇宙を漂うことはありません。

これと同じ力がタイタンにも働いています。

しかし、土星は太陽系で最も密度の低い惑星であるため内部に作用されたとしても重力場が変化することあまりないため、年に0.1cm程度のゆっくりとした速度で離脱しているはずだと考えられていました。

しかし、その予想は裏切られることとなります。

credit ; dailymail

スポンサードリンク

タイタンの今後は..

Nature Astronomyに掲載された本研究では2つの独立した別々の手法を用いてタイタンの起動を測定しました。

1つは位置天文学(astrometry)と呼ばれる手法でカッシーニが撮影した画像に写り込んだ背景の星を基準に、タイタンの軌道を正確に測定しました。

もう1つは放射測定(radiometry)と呼ばれる手法で、2006年から2016年までの10回の接近飛行中にカッシーニによって送信された電波の周波数がどのように変化したかを調査し、タイタンの軌道を測定しました。

驚くべきことにこの2つの手法で計算されたタイタンの軌道は完全に一致しており、両者とも「タイタンは以前の予測よりも遥かに速い速度で離脱していっている」という結論に至りました。これにより1年に4インチ(10.16センチメートル)ずつ遠ざかっていることが判明しました。

地球の月と同じ理論が通用するのならば土星の月「タイタン」もいつかは釣り合いが取れる地点に到達し、それ以上離れることはなくなるのかもしれません。しかし、通用しなかった場合、タイタンはいずれ宇宙空間をさまよう可能性があります。

そのときまで人類が存続しているかどうかは不明ですが、太陽系惑星に影響がでないことを期待しましょう。

参照:Scitechdaily / phys.org / dailymailonline