ボレアロペルタ (「北の盾」という意味)と名付けられたこの恐竜は1億1000年前に生息していたノドサウルス科に属する新種の恐竜です。
この「恐竜のミイラ」の素晴らしい点は、骨格だけでなく皮膚や鱗屑、内臓などの生前に近い状態で保存されていることでした。
そして今回、このミイラの胃の内容物を調べることでこの恐竜の「最後の晩餐」が明らかとなりました。この恐竜、実はかなりの「偏食家」だったのかもしれません。
気になる胃の中身とは
恐竜たちが日常で何を食していたのかについては多くの推察がされていますがほとんど明らかになっていません。
以前の研究の時点で腸内に種子や小枝があることは判明していましたが、それがどの植物の種子であるのかということは不明でした。
そして今回、研究者たちはサッカーボールほどの大きさの胃を覗き込んで、食生活を調べ上げました。

驚くべきことに、この恐竜の胃の内容物はその殆どが「シダ植物」で構成されていました。その内訳は約88%はシダの葉を噛み砕いたもので、7%はその茎と小枝でした。
更に細かく分類すると48の花粉や胞子、26のコケやシダ、13の針葉樹や他の裸子植物、2つの被子植物となっていました。さらに、胃の中からは現代の鳥類が消化を良くするために飲み込んでいる「胃石(=ガストロリス)」と見られる石も発見された。


チームは、この恐竜が生息していた時代に入手可能な食用植物と胃の内容を比較したところ、ボレアロペルタは白亜紀初期に一般的であったソテツと針葉樹を避け、シダ植物を好んで食べていたことがわかりました。
ボレアロペルタは結構な偏食家だったようです。

死ぬ直前に焼け跡にいた?
胃の内容物からわかるのはその恐竜の好き嫌いだけではありません。
胃の中からはかなりの量の炭が発見されました。これは、つい最近まで火災が発生していた地域で食事をとっていたことを示唆していますが、それだけではありません。
シダ植物の中には若葉が赤くなる種類が存在しており、ボレアロペルタはこの特性を利用している可能性が示唆されたのです。(焼け跡なら若葉を見つけやすい)
「これらの発見をまとめると、この動物がどのように選択的に植物を選んで食べていたのか、森林火災の再生をどのように利用していたのかなど、この動物の生態についての推論が可能になる。」とブラウン氏は述べています。
鉱山で発見されたボレアロペルタは2017年からロイヤルティレル博物館に展示されています。
参照:eurekalert / mailonline