親から十分な愛着を得られなかった子供は「算数」が苦手になるという研究結果

とある心理学的文献は、算数に対する苦手意識とは「数の操作や数学的な問題の解決を妨げる緊張感や不安感」であると説明しました。

この考え方は多くの研究者から支持されており、様々な研究が行われた結果「算数に対する不安が算数の成績に悪影響を与えている。」という結論に収束しました。

では「算数に対する不安」とはどこからくるものなのでしょうか。

この謎を解き明かすべく、研究チームは小学5年生を対象に実験を行いました。(小学5年生の時期が算数に対する苦手意識が顕著に現れるという研究が存在したため)

幼少期における数学不安

前述した心理学的文献は親の愛着理論と呼ばれるものにも触れており、養育者との親密な関係がなければ子供は社会的、心理学的に不安を覚えやすいとしています。

この理論に基づいた以前の別の研究は「十分な愛着を得た子供は親に容易に助けを求めることができるが、そうでない子供は問題を抱え込みやすい。」という結果を残しました。

そこで今回の研究は、「不安定な愛着が子どもの数学の不安と関連しているかもしれない」という仮説を立て、子どもたちに母親との関係を測定するアンケートを実施しました。

対象となった87名(男女比41:46)の参加者は様々な社会的背景を持っていました。15人の子供の両親は離婚し、父親が死亡している子供が4名いました。

またアンケート以外にも、「算数の授業中に指名されたとき、どのくらい緊張しているか」などの質問を含む算数の不安の評価や単純な数学のテスト(6+5などのもの200個をいかに早く解けるか)などを行い、算数の知能レベルを検証しました。

愛着と数学の苦手意識には関係性があることが判明

調査結果は不安定な愛着が算数の不安と関連していることを示しました。これは算数の成績と愛着の関係性を示した初の事例です。

十分な愛着をもらえなかった子供は数学の問題解決の際に親や教師から数学の助けを受ける可能性が低くなり、結果としてより多くの失敗を重ねると、研究者は語っています。

なお数学のテストの中には時間制限があるテストと時間制限なしのテストがあったのですが、算数を苦手とする子供はその両方の得点が低かったことから、単に時間に追われることが苦手なのではなく、算数全般を苦手としていることも示されました。

しかし、著者らは今回の研究は一般的な不安や特徴的な不安を含めたものではないことを認めており、一般的な不安効果を反映してだけという可能性を排除できないとしています。

参照:psypost / 「安全でない愛着は中年の数学の不安と関連している」