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人間の赤血球よりも高性能!?優れた能力を持つ「合成赤血球」が作成される

天然物が人工物よりも優れているという考え方は果たして正しいのでしょうか。

確かに現在開発、販売されている「義手」と人間が本来持っている「手」を比較してみるとまだまだ人間の手のほうが高性能と言えるでしょう。

しかし、他の事例でこれと同じ結果が出るとは限りません。例えば薬草を煎じて作った薬よりも現代の科学的に合成された薬のほうが少量で安定した効果を得ることができるでしょう。

このように自然のもののほうが優れている場合もあれば、人工物のほうが優れている場合もそれなりに存在しています。

そして今回、「聖域」とも思われていた人間の体内、それも私達の体を維持している「赤血球」よりも高性能な『合成赤血球』が作成されました。

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赤血球の合成バージョン

言うまでもなく、赤血球は重要な役割を担っています。

彼らは「ヘモグロビン」と呼ばれる酸素分子と結合する特性を持つタンパク質で構成され、肺から取り込んだ酸素を全身の細胞に行き渡らせています。

また、赤血球は非常に高い柔軟性を保持しており、狭い毛細血管を通過するために形状を変化させることができるなど、他にはない特性があります。

「合成赤血球」を構築する際、これらの特性を再現するのに科学者たちは非常に苦労したといいます。

しかしこのたび、ニューメキシコ大学、サンディア国立研究所、中国南部工科大学らの研究チームは、これらの特性を完全に模倣した「合成再構築赤血球(RRBC)」の作製に成功したことを発表しました。

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潜在的な用途が多数存在

研究チームはまず、人間の赤血球を二酸化ケイ素の薄膜でコーティングすることから始め、それに帯電したポリマーを重ねることで柔軟な人工細胞を作り出しました。

その後、二酸化ケイ素と赤血球の内側を削り取り、残った高分子膜を天然の赤血球膜でコーティングしました。

こうして得られたのがサイズ、形状、電荷、および表面タンパク質が天然の赤血球と酷似した「合成赤血球」です。表面のコーティングのおかげで免疫細胞に取り込まれることもありません。

チームはマウスにこの合成赤血球を注射し、その反応を観察しましたが48時間以上体内を循環したにも関わらず、その間マウスに毒性のある副作用は検出されませんでした。この結果は、合成赤血球がモデルの毛細血管を通り抜けられることも示唆しています。

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実際のものよりも良いものなのか

さらに、この合成赤血球には他にも実行可能な能力があります。

研究者らは追加のテストで、人間の赤血球では運搬できない抗がん剤、毒素センサー、磁性ナノ粒子のさまざまな貨物を運ぶことができることを実証しました。

他にも、他のウイルスに対して「デコイ」として使用が可能など潜在的な用途が多数存在しているため、将来的に人体実験の準備ができるようになることを期待して、この細胞の調査とテストを続けるとチームは語っています。

参照:Newatlas / ACS