宇宙には数多くの銀河が存在しています。2016年には現在観測可能な銀河は最低でも2兆個存在していると推測されました。
通常、これらの多くは楕円形の光の輪郭を持つ「楕円銀河」や螺旋を描くようにして伸びる腕を持つ「渦巻銀河」、近くの銀河の引力に引き寄せられて形を崩した不規則などに分類されます。
しかし、天文学者たちはこれらの分類に当てはまらない非常に稀な銀河を発見し、110億年前に存在していた頃の姿を捉えることに成功しました。
奇妙なオブジェクト「R5519」
R5519と名付けられたこの銀河は太陽から110億光年離れた場所に位置しています。
月曜日に発表されたプレスリリースによると、中央に空いている穴は非常に巨大であり、穴の直径は地球と太陽の距離(150,000,000キロメートル)の20億倍にもなるといいます。さらに、この銀河は非常に活発的に星々を形成しており、天の川銀河の50倍以上の速度で原始星を作り出しているなど、これまでにない特徴的な性質を持っています。
銀河同士の衝突によって誕生した!?
Nature Astronomy誌に掲載された論文では国際的なチームがハップル宇宙望遠鏡とWMケック天文台からの観測データを精査して、それがどのようにして形成されたのか詳しく説明しています。データセットで検出された約4,000個の銀河の中で、R5519は最も明るく、明確な火の輪のようなリング状の構造を示しました。そこで研究チームはさらに調査をすすめると自分たちが珍しいものを見つけたことに気づきました。
なんとこの銀河の穴は他の銀河との正面衝突によって形成されたことが示され、初期宇宙に存在する最初の「衝突環銀河」である可能性が示唆されたのです。
もしもこの仮説が正しいとするならば、チームは1万個に1個程しかないとされる非常にレアな銀河を発見しいたことになります。初期宇宙は銀河の密度が高く、このような衝突が一般的であった可能性を考慮してもその価値はゆるぎません。