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木星の軌道上で「新種」の小惑星が発見される。

天文学者らは木星と同じ軌道を周回する彗星のような尾を引く新しい種類の小惑星を発見しました。この発見は彗星と小惑星の定義を曖昧にさせるものです。

ATLAS衛星により観測

2019年6月、ATLASは木星の軌道の近くに微弱な小惑星を発見したと報告しました。このシステムは広視野望遠鏡を使用して地球に接近する危険性のある小惑星をスキャンすることを目的としていますが、その他の興味深いオブジェクトを見つけることがあります。

「2019 LD2」と指定されたオブジェクトは当初、ただの小惑星だと思われていました。しかし、その1ヶ月後にATLASが捉えたの画像を精査したところホコリやガスで作られた尾が観測されたことから彗星の可能性が示唆されました。

その後の観測でも約1年にわたって彗星のような性質を維持し続けていたことが示されました。

宇宙の安定地帯「木星のトロヤ群」

ATLASは40以上の彗星を発見していますが、この天体が特別なものとされる理由はその軌道にあります。

この天体は木星のトロヤ群に属する特殊な小惑星であり、彗星のように塵やガスを噴出するこのタイプの物体はこれまでに見られたことがありませんでした。

この地帯に属する小惑星は何十億年も前に木星の強い重力によって軌道に取り込まれた時に、気化して「尾」を形成する可能性のある表面の氷がすでに取り除かれているはずです。

天文学者は「2019 LD2」がはるか遠くの宇宙から飛来し、木星の重力によって比較的最近捕獲されたことを示唆しているといいます。あるいは元々内部に大量の氷を保持しており、表面を保護していた岩が地すべりや他の小惑星との衝突によって破損した可能性があります。

ラグランジュ点に位置する木星のトロヤ群。2012年時点で合計で5,425個の小惑星が確認されている。

以前から天文学者によって予測されていた!?

木星トロヤ群の小惑星は赤みがかった暗い色をした小惑星がほとんどであり氷や有機物が存在する確かな証拠は得られていませんが、今回の発見はトロヤ群に属する天体にも氷などが存在する確かな証拠を提供しています。

「私たちは何十年もの間、トロイの木星の表面下には大量の氷があるはずだと信じてきましたが、今までその証拠はありませんでした。」と、小惑星の彗星面の解明に貢献したアラン・フィッツシモンズ氏は声明の中で述べています。

「ATLASは、彼らの氷の性質の予測が正しいかもしれないことを示しています。」

宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所(ISAS)は2020年後半にソーラー電力セイルと高比推力のイオンエンジンを組み合わせたトロヤ群探査計画OKEANOS打ち上げを予定しており、トロヤ群L2の詳細な調査が期待されていますがしばらくの間はATLASに注目が集まることになりそうです。

「ATLASシステムは危険な小惑星を検索するように設計されていますが、ATLASは空を走査している間、私たちの太陽系やそれ以降に他の珍しい現象を見つけます。」と、ATLASプロジェクトの主任研究員ラリー・デノー氏は語りました。

「ATLASがこのような種類の発見をすることは、本当のボーナスです。」

「2019 LD2」を捉えた画像。左の画像は混雑した星のフィールドで(2本の赤い線で示されている)ほとんど失われている

参照:iflscience / ハワイ大学ハノワ校