新しい研究は二酸化炭素排出量の多い国々の活動が低迷したことにより、1日あたりの炭素排出量が1,700万トン減少したことを示しました。これは通常のレベルの6分の1以上に相当します。
Nature Climate Changeに掲載された研究では、国際的な研究チームがCovid-19パンデミック期間中に世界中のエネルギーの使用と需要にどのような変化をもたらしたかを調査しました。この分析では、2020年4月末までに利用可能なエネルギー、活動、政策のデータを組み合わせて、感染拡大前の状態と比較した相対的な排出量の変化を測定しました。 「排出量は4月7日に減少のピークを迎え、昨年の同時期と比べて17%の減少となりました。この数字を文脈に乗せると、1月から4月までの1日の平均排出量は、昨年の同時期に比べて再び8.6%減少しています。」と、CSIROの研究者であるペップ・カナデル博士は声明で語りました。興味深いことに、ロックダウンピーク時の全世界の排出量の減少の約43%は、車の移動による排出量が減少したことに起因していました。他にも電力需要の減少により19%、大きな打撃を受けた航空業界は10%の減少を示しました。誰もが家庭内に閉じこもっているにも関わらず、家庭でのエネルギー使用量の増加は微々たるものであり、他のセクターからの利益に影響を与えるほどものほどではありませんでした。
分析されたデータは世界のCO2排出量の97%を占める69カ国、米国50州、中国30省から抽出されたものです。チームは今年4月の排出量が昨年と比較して世界で17%減少していることを発見しました。
「2020年の排出量の減少が最も大きかったのは、産業界や地域社会が最初にロックダウンを行った中国で、次いで米国、欧州、そしてインドと続いた。」と、カナデル博士は声明で述べました。
「4月7日の1日あたり17%のピークの減少は、中国、米国、インド、その他の主要な炭素排出国がすべて同時に高レベルのロックダウン状態にあったためです。」
このような大幅なCO2排出量の減少にも関わらずこれは一時的なものであり、経済および社会全体の規制が6月中旬までに解除された場合、全体の4.2%の減少にとどまると推定されています。
この調査結果は、気候変動への取り組みは個人の責任だけでは達成できないことも示唆しています。そして変化を起こすためには、これまで実証されてきたように政府が自らの情報構造そのものに意味のある変化をもたらすことに焦点を当てる必要があります。
「COVID-19後の経済対応を計画する際に、世界のリーダーが気候変動をどの程度考慮するかは、今後数十年間の世界のCO2排出経路に影響します。」と、主著者であるイースト・アングリア大学のコリンヌ・ル・ケレ教授は述べました。「気候目標の達成にも役立つ経済刺激策を実施することで、現実的で耐久性のある変化をもたらし、将来の危機に対してより回復力を高める機会が存在します。」
参照:iflscience / dailumailonline