NASAのハッブル宇宙望遠鏡はアトラス彗星が崩壊していく様子を観測し、撮影に成功しました。
彗星は主に氷や岩などを核とした数キロ程度のとても小さな天体です。彼らは太陽に接近すると表面のチリや氷が蒸発することにより出現する『尾』は古くから人類に認知されており、疫病や戦争の兆候とも考えられてきました。
多くの彗星は特殊な機器を用いなければ観測ができませんが、アトラス彗星はその強い輝きから肉眼での観察が可能なのではないかとして機体が高まっていました。
しかし、4月5日に撮影された段階で、アトラスが輝きを失い始めたことが観測されたことで、分裂、もしくは崩壊の可能性があると懸念されていました。そして、4月11日にアマチュア天文学者であるホセデケイロス氏によって初めてアトラス彗星が3つに分裂している様子が確認され、さらにハッブルによって4月20日に約30個、4月23日に25個の断片が特定され、アトラス崩壊が決定的となりました。
「これは本当にエキサイティングです。このようなイベントは見るのがとてもクールであり、頻繁に発生することはありません。」と、メリーランド大学のハッブル観測チームのリーダーの1人であるQuanzhi Ye氏は声明で語りました。「断片化する彗星の大半は暗すぎて見ることができません。このような規模のイベントは10年に1〜2回しか発生しません。」
彗星の襲来、断片化は突発的に発生するため予測不可能です。信頼における観測データを得られることは殆どありません。
そのため、彗星が何故断片化するのか、どのようにして断片化するのかは大部分が不明のままです。しかし、今回のハッブルによる正確な観察はそれらの謎を加盟する手助けになる可能性があります。
「ハッブルデータをさらに分析することで、このメカニズムが原因であるかどうかを示すことができる可能性がある」と、カリフォルニア大学ロサンゼルス校の教授であるデイビッドジュイットは声明で語りました。「とにかく、この死にかけている彗星をハッブルで見るのは非常に特別です。」
私達が肉眼でアトラス彗星を観測するという願いは打ち砕かれてしまいましたが、新たな希望もあります。
「スワン彗星」と名付けられた肉眼で観測することが可能な彗星がすでに発見されており、いずれ地球に接近すると見られています。
参照:NASA / iflscience / ナゾロジー / scitechdaily