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「豊胸手術用の乳房インプラントが至近距離から撃たれた銃弾の軌道を変え、人の命を救う」という稀なケースが報告される。

人間の持ち物が銃弾の魔の手から人の命を守るケースはいくつか報告されています。胸ポケットのスマートフォンが銃弾を止めたケースPCモニターが銃弾を止めたケースなどが代表的ですが、今回、それらの『稀』な事例にユニークなものが加えられることとなりました。

豊胸術は形成外科医にとって最も一般的な手術の1つです。アメリカ形成外科学会が提出したデータによると2016年だけでも29万人以上の女性が手術を受けたと報告しています。この事例は、手術に用いられるシリコン乳房インプラントが弾道をそらす可能性が高いという仮説を裏付けたケースとなります。

この恐ろしくもユニークな事例はカナダのオンタリオ州で発生しました。事件は捜査中であり、襲撃した人物は不明、使用された銃器は発見されていません。

豊胸手術の経験がある30歳の女性は通りを歩いているところ、急激な左胸の痛みと熱を感じ、目線を下へ向けると血が流れているのを確認しました。彼女は急いで病院へ向かいました。

幸運なことに彼女は病院へ到着するまで、さらなる銃撃を加えられることはありませんでした。臨書検査により、彼女の左乳房の上極に創傷があることが判明しました。さらに侵入傷を取り巻くように熱損傷が確認されたことから、かなり至近距離で撃たれた推測されました。

X線検査により銃弾が依然として患者の体内に留まっていること、肋骨の骨折が確認されましたが命に別状はありませんでした。


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X線写真。左中央に見えるのが弾丸。credit:Plastic Surgery Case Studies

手術の後、彼女の損傷した左右の乳房インプラントと銃弾が取り出されました。発射体は、引き渡された警察によって銅ジャケットの0.40口径だと決定づけられました。

女性の医療チームは手術が成功したCTスキャンなどの画像データを併用して、弾丸がいかにして彼女の体を通過したのか検証を行いました。研究者らは乳房インプラントによる軌道の変更がなければ、弾丸は彼女の心臓を貫いた可能性があったことを指摘しました。

「臨床的に弾丸の進入の軌跡と放射線学的評価に基づいて、弾丸の弾丸偏向の唯一の原因は左乳房インプラントです。」と、研究者は論文で書いています。

「このインプラントは心臓と胸腔内を覆っているため、おそらく女性の命を救っています。」

「私たちの研究は、実際の患者の場合の弾丸の軌跡を分析するために高解像度CT技術を使用することにより、この知識を追加します。」

「弾丸が左側の骨に当たっていなかったため、この弾道の変化は、弾丸が私たちの患者のインプラントに当たったためであった可能性があります。これは、インプラントが弾丸軌道の変化の原因であることを意味します。」

米国では豊胸術を受けている女性が多く、また銃による負傷事例も比較的多いにもかかわらず今回のようなケースは驚くほど少ないです。しかしゼロではありません。

チームは医療文献の中に少なくとも2件の乳房インプラントが命を救ったケースを確認しました。稀ではありますが乳房インプラントが命を救うことができるという仮説を裏付けるものです。

調査結果は Plastic Surgery Case Studiesで報告されています。

参照: Plastic Surgery Case Studies / sciencealert