針を使用しない「舐めるワクチン」が開発される

COVIDー19ウイルスに対する効果的なワクチンを特定するための競争が世界中で続いています。しかし、たとえワクチンを開発できたとしてもそれで全てが終わるわけではありません。次なる問題としてそれを製造し、世界中に配布することが立ちはだかります。

世界的に、過去10年でワクチンの接種率は大幅に改善しましたがそれでも依然として低水準です。2018年には1350万人の子供が予防接種を受けていませんでした。この研究はそれらの問題を解決し、医薬品の世界的な流通拡大に大きく貢献するでしょう。

science advancesに掲載された研究によるとテキサス大学オースティン校の研究グループは生きたウイルス、抗体、酵素、バクテリアを冷蔵せずに長期間保存可能な薄膜プラットフォームを開発しました。このフィルムは口に入れるだけで簡単に溶かすことが出来ます。

フィルムを作る素材は安価であり、プロセスも比較的簡単なのでワクチンキャンペーンをはるかに手頃な価格にすることができます。平らでスペースを節約できる形状であるため、大量の出荷と配布を簡単に行うことができます。

舌下および頬側経路によるワクチン投与は、従来の筋肉注射と同様または、それ以上の抗体反応を誘発しました。

オースティン校の研究チームは2007年にこの技術の開発を開始しました。国立衛生研究所からワクチンの無針で安定な送達方法の開発が求められたのです。

フィルムを開発するというアイディアは昆虫やその他の生物のDNAを何百万年もの間琥珀の中に保存する方法についてのドキュメンタリーに触発されました。それは単純なアイディアでしたがまだ誰も試していませんでした。そこで、砂糖や塩などの天然成分を含むさまざまな調合物を混ぜて、固体の橙色のキャンディーを作成する力をテストしました。

最初に、私たちがテストした製剤の多くは、保存中にフィルムが形成または結晶化するときに生物を殺し、保存しようとしたウイルスまたは細菌を細断しました。

しかし、諦めずに実験を続け、1年で約450回試行した後、剥離可能なフィルムにウイルスや細菌を懸濁できる製剤を見つけました。

それに伴い生産プロセスの簡素化も可能となりました。より早く材料が乾燥するように調合し、朝にワクチンのバッチを作成し、昼食後に出荷できるようにしました。

研究者らはこの技術を今後2年以内に市場に投入することを目指して、スタートアップに関与しています。

全ての保存されたワクチンは時間の経過とともに効力を失います。彼等の効力は保存された環境の温度に大きく依存しています。ワクチンを継続的に冷蔵、温度を維持するには巨額の費用がかかります。そして世界の殆どの地域でそれは不可能です。

今回の研究での最大の発見は3年前に作成されたエボラウイルスを含むフィルムが実験室の密閉容器に保管されているのを発見したことです。驚いたことに、フィルムのウイルスの95%以上がまだアクティブでした。冷蔵されていないワクチンのこの種の貯蔵寿命を達成することは驚くべきことでした。

また、このフィルムは廃棄物を排出しないというメリットも存在します。

1か月で1800万人の子供を予防接種した2004年のフィリピン麻疹撲滅キャンペーンでは、1950万個の注射器、または143トンの鋭利廃棄物と80トン近くの無害廃棄物(空のバイアル、シリンジラッパー、キャップ、綿棒、包装)が発生しました。

将来は予防接種により泣いたり、嫌がったりする子供が減っていくことでしょう。

この記事は、Creative Commonsライセンスの下でThe Conversationから再発行されています。元の記事を呼んでください。

参照:sciencealert