1億年以上前の海底堆積物から「生きた微生物」が発見される

ゾウ1600頭分の水圧に耐えられる魚、体が金属のような鱗で覆われた貝、400℃にも達する海底噴出孔付近に住む甲殻類、海底の暗い世界はまさに「強者たち」の世界です。

そのさらに下、海底下の地層ともなると最早私たち人間がどうこうできる世界ではありません。

そこで生きられるのは酸素、栄養、水がなくても生きられる微生物たち。1,000年~10,000年に1度しか細部分裂をせず、消費エネルギーを最小限にすることでギリギリ生きている微生物たちです。

しかし、彼ら「強者たち」のポテンシャルを侮っていたのかもしれません。

最新の研究によると、1億150万年前、つまり恐竜が地球を支配していた時代から生きている微生物が海底の地層から発見されました。

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研究著者の1人であるスティーブン・ドンドによれば、本研究は「考えうる限りもっとも厳しい環境下にいる生命を理解すること」を目的にしているといいます。

過去、海底下750メートルの岩石試料から生きている微生物群衆が発見されていますがこれ以上深くに生命が存在しているかは不明となっています。

そこで、チームは南太平洋・3,700~5,700メートルの海底に目をつけました。

地球の大部分を覆う海の底には、チリやマリンスノーなどが堆積物として蓄積します。このような粒子の細かい堆積物で構成される地層は微生物であっても身動きが取れず、地層形成時の微生物が保存されている可能性があるからです。

チームの予想は見事に的中しました。回収された試料にアミノ酸化合物やアンモニアを添加して微生物の培養を試みたところ、見事、繁殖が確認されたのです。

さらに、チームが餌を取り込んだ微生物の割合と増殖率から「堆積物にいた微生物の内、現在も生きている個体」の割合を算出したところ、1億150万年前に形成された地層のグループは99,1%が生きていたことが判明しました。

興味深いことに、復活させた微生物をDNA解析にかけた結果、休眠して長期生存できるタイプの微生物種は殆ど見られなかったという。

「極めてエネルギーが制限された環境下で、どのようにしてこれほど長い間生き延びてきたのかはわかりません。」と、スティーブン・ドンドはコメントしています。

海底堆積物中の微生物が僅かなエネルギーで生存を可能にしているメカニズムはその大部分が不明のままですが本研究で1億年以上生きている微生物が見つかったことにより、今後の研究の大きな手がかりとなるでしょう。

この研究はNature Communicationsに掲載されました。

参照:海洋開発研究機構 / inverse