全長約14億光年!天の川銀河周辺に凄まじい大きさの「壁」が発見される

フランス・パリ=サクレ大学を中心とした国際的な研究チームは、宇宙観測史上最大級の構造物である銀河の「壁」を新たに発見しました。

「The South Pole Wall(南極壁)」と呼ばれるこの壁は、地球から5億光年という極めて近い距離に位置していながら天の川銀河の光にかき消され、これまで見つけられていませんでした。

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銀河は膨張する宇宙空間に無造作に散らばっているわけではありません。

複数の銀河はお互いの重力によって結びつけられ、ほとんど物質が存在しないボイドに区切られながら脳のニューロンに似た構造物を形成します。

それぞれの細い糸状の神経が銀河の壁となり、それらが束ねられることで何億光年と伸びる宇宙最大級の構造物を作り出しています。これらは中国の万里の長城の英語名にちなんで「The Great Wall」と名付けられました。

新たに発見されたものは端から端まで13億7000万光年にも及ぶ巨大なものです。万里の長城とは比べ物にならないほどの大きさですが、このような構造物は他にも発見されています。

現在宇宙最大の構造物である全長約100億光年の「Hercules-Corona Borealis Great Wall(ヘルクレス座・かんむり座グレートウォール)」などが代表的でしょう。

しかし、今回の発見が特別な理由は大きさではありません。地球から5億光年という非常に近い距離にありながらこれまで見逃されていた点です。

実はこの距離の近さが発見が遅れた要因でもあります。

「南極壁」は天の川銀河のすぐ後ろにある「Zone of Avoidance (ZOA)」と呼ばれる星々が厚く明るい地域に位置しています。

その光に覆い隠され、比較的暗い「壁」は地球の間近にありながら報告されることはありませんでした。

では天文学者たちはどのようにして見つけ出したのでしょうか。その答えは少々複雑ですが基本的には”宇宙の膨張””波長のズレ”が関係しています。

研究チームは約18,000個の既知の銀河を含んだデータベースを使用しました。これは光の波長がどれだけ伸びているのかを計算することにより、その銀河がどれだけ速く動いているのかを検出できるものです。

遠ざかる速度が早いほどその銀河が遠くにある事になり、遅いほど位置が近いということになります。

これに加えて、宇宙の膨張による銀河の運動というパラメーターを用いることで、地球の近くに複数の銀河の間に広がっている超巨大な壁があることが明らかとなりました。

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撮影された(地球から見て)南側に広がる南極壁。credit : ダニエル・ポマレデほか

この湾曲した壁は、銀河に沿って構成されており、6億5000万光年の距離にあるもう1つの巨大な構造物、シャプリー超巨大星団に向かって伸びています。

南極壁は見つかって日が浅いため、現時点で観測できていない部分もあり、さらに巨大な構造をしている可能性もあります。

この研究はThe Astrophysical Journalに掲載されました。

参照:scienceslert