初期宇宙で”太陽の15億倍の質量を持つクエーサー”が発見される。規格外すぎて現在の理論では説明できない…

ハワイの先住民族の名前がつけられた初のクエーサー。Credit: International Gemini Observatory/NOIRLab/NSF/AURA/P. Marenfeld

ビックバンからわずか7億年後の宇宙で太陽の約15億倍のブラックホールを中心に持つ初期宇宙で最大のクエーサーが発見されました。

クエーサーは宇宙に存在する”灯台”のようなものであり、最も明るく、エネルギッシュな天体の1つです。

その他に類を見ない特性から、宇宙史において”いつクエーサーが誕生したのか”という課題は非常に重要であり、天文学者は熱心に解明に取り組んできました。

発見された天体はハワイ文化で崇拝されているマウナケア山の望遠鏡で発見されたことを受けて、「ポニウアーナ(輝きに包まれた目に見えない創造の回転源)」と名付けられました。

研究の共著者であるザイアオフイ・ファン氏は「この発見は、初期宇宙におけるブラックホールの形成と成長の理論にとって、これまでで最大の挑戦を提示しています。」と述べました。

左がビッグバンから1億年後に誕生した巨大クエーサーの「種」、右がその7億年後の姿。credit : International Gemini Observatory/NOIRLab/NSF/AURA/P. Marenfeld

現在の理論ではクエーサーは大質量ブラックホールを原動力としていると見られています。

ブラックホールがチリやガス、星の材料となるものを吸い上げると莫大なエネルギーが発生し、それにより銀河を隅々まで照らし出すことができると。

これがクエーサーの原理です。問題は、座標と既存の理論では説明のつかない大きさです。

「ポニウアーナ」は地球から130億2000万光年の場所で発見されました。これはビックバンからわずか7億年後、「宇宙の黎明期」と呼ばれていた時代に出現したことを示しています。

この時代からは他にもクエーサーが観測されていますが、それらと比べても”他に類を見ない”サイズであることは間違いではありません。

さらに、ビッグバンから7億年という極めて短い期間で単一の星の崩壊によって形成されたブラックホールがここまで成長したというのは、現在の宇宙モデルではありえないことです。

研究チームが行った計算では、ビッグバンから1年以内に太陽質量の1万倍の「種」ブラックホールからスタートしなくてはならないという結果が出ています。

アリゾナ大学天文学部のファン・シャオホイ准部長は「この発見は、初期宇宙におけるブラックホールの形成と成長の理論にとって、これまでで最大の挑戦を提示している。」と語りました。

宇宙の再イオン化

クエーサーは宇宙に最初に星が出現した時期についても手がかりを与えてくれています。

ビッグバンから3分は明るかったがその後数億年は暗闇に閉ざされることとなる。http://www.segj.org/is/10th/program_pub.html

ビッグバン後すぐの宇宙ではまだ星もなく、光もないため、非常に寒かったと推察されます。

しかし、その後3~4億年かけて星や銀河が誕生したことで宇宙が加熱し始め、高エネルギーに当てられた中性水素原子は電子を剥ぎ取られて電離(イオン化)しました。

「ポニウアーナ」は再イオン化以前の時代に存在しています。

つまりこの天体は宇宙全体の再イオン化のメカニズムを解明することに役立つ可能性があるということです。

いまのところ、それがいつ、どのくらいの時間で起こったのかを正確に特定することはできていませんがさらなる研究により明らかになる日も近いのかもしれません。

この研究はarxivに掲載されました。

参照:phys.org / UPI