植物はナノプラスチックを吸収し、その成長を妨げ、栄養価を低下させる可能性があるという研究結果

海洋や魚介類に含まれるマイクロプラスチックやナノプラスチックが消費者に注目されるにつれ、環境における研究が盛んに行われるようになりました。

ですが、それらの多くは海洋環境に限定したものであり、陸上、特に農業用土壌におけるマイクロプラスチックの挙動はほとんど知られていません。

本研究に関わった邢氏も「これまでナノプラスチックが陸上の植物に内包されるという直接的な証拠はなかった」ことを指摘しています。

にもかかわらず、新しい研究は植物がナノプラスチックを吸収すうことにより、その成長や栄養価に悪影響を与えていることを示しています。

生物濃縮の果て

プラスチックの粒子を吸収する植物の根のアーティストの印象
マイクロプラスチックを吸収する根のイメージ画像。credit : マサチューセッツ大学アマースト校

プラスチック袋やペットボトルは日光や物理的な破壊によりマイクロプラスチック(5ミリ以下)やナノプラスチックを生成します。

生産にあたって意図的な破壊は必要ありません。ヘットボトルの蓋を開ける、プラスチック同士をこすり合わせる、それだけでも空気中にプラスチック片が飛散します。

プラスチック製品の広範な使用を考慮すれば、土壌にもそれなりの被害を与えていると考えて然るべきでしょう。

その影響を調査するためにチームは、帯電した蛍光塗装ナノプラスチックが含まれた土壌で「シロイヌナズナ」を育て、その植物の重量、身長、クロロフィル含量、根の成長を観察しました。

帯電している理由は、風化や劣化によって物理的・化学的性質が変化し、表面電化が付与されているためとのこと。

credit :Xiao-Dong Sun.et.al Nature Nanotechnology2020

調査は7週間にわたって行われ、「ナノプラスチック入り土壌」と「通常の土壌」で育成されたシロイヌナズナを比較しました。

その結果、ナノプラスチックに暴露された植物は比較対象よりも身長が低く、根も短くなっていることが判明しました。

さらに、電化を持つプラスチックの内、正の電荷を持っているものは植物にとってより有害となることがわかりました。

正確な理由はわかりませんが、水、栄養素、根と相互作用することにより、遺伝子発現に変化を及ぼした可能性をチームは指摘しています。

プラスチックは完全に分解されるまで数千年かあると言われており、課題を解決することなく製造をし続けた場合、汚染はさらに広がるでしょう。

それが陸上へ集積し、植物に蓄積されるようになった場合、植物の成長に悪影響を与えるだけでなく、それを取り込んだ人間にも濃縮していく可能性があります。

この研究はNature Nanotechnology

参照:sailymail omline / マサチューセッツ大学アマースト校