X線を通して見た「天の川銀河の全天マップ」が作成される。観測期間はたったの半年…

credit : ジェレミー・サンダース、ヘルマン・ブルナー、eSASSチーム(MPE)。ユージーン・チュラゾフ、マラット・ギルファノフ(IKIの代理)

2019年にバイコヌール宇宙基地から打ち上げられたX線望遠鏡「eROSITA」は最初のミッションを終え、天の川銀河の全天マップを地球へ届けてくれました。

上のエキサイティングな新しい地図はつい最近完成したばかりであり、そこには100万以上の天体と過去60年の観測で発見された2倍の数のX線源が写されています。

eROSITAの主任研究員であるペーター・プレデル氏は「この全天画像は、我々がエネルギッシュな宇宙を見る方法を完全に変えてしまいました。画像の美しさは本当に目を見張るものがあります。」と語っています。

宇宙が明るく!X線天文学

宇宙で最も活動的かつエネルギッシュな天体はいずれもX線を放っており、その発生源は太陽の放出するコロナからブラックホールまで様々です。

それらの波長を捕捉するため、eROSITAが映し出す画像は他の望遠鏡のものとは大きく異なり、高エネルギー天体とその周辺を強調して捉えることが出来ます。

チームはマップを形成するにあたって、宇宙全体を楕円形に圧縮するエイトフ図形を採用しました。

完成されたマップはそこで何が起きているのかを説明するために色分けがされており、青は高エネルギーのX線(1〜2.3キロ電子ボルト、keV)緑は中エネルギー(0.6-1 keV)赤はより低いエネルギー(0.3-0.6 keV)となっています。

credit : ジェレミー・サンダース、ヘルマン・ブルナー、アンドレア・メルローニ、およびeSASSチーム(MPE)。ユージーン・チュラゾフ、マラット・ギルファノフ(IKIの代理)

天の川銀河の中心は非常に高エネルギーの天体によって支配されています。

これは、大量のガスや塵が低エネルギーの放射線を吸収し、除去しているためだそうで銀河団の中心にはこのような強力な磁気と高温の大気を持つ星が含まれていると推測されています。

右側にある大きな黄色い斑点は超新星爆発の残骸、つまり死した星が残した廃墟であり、その衝撃波が周囲の塵やガスを超高温で加熱したものです。

この領域は「ヴェラ超新星残骸」と呼ばれ、そのサイズと地球から近いことから全天マップの中でも目立った存在であり、画像の撮影にも成功しています。

ヴェラ超新星残骸、地球から最も近い超新星残骸の1つ。credit : Peter Predehl、Werner Becker(MPE)、Davide Mella

それから、マップの上下に広がる赤い光は遥か彼方に位置する銀河系から放出された高温のガスから検出されたX線です。ところどころに散らばっている白い点は巨大ブラックホールのサインです。

ブラックホールは光すら逃さないほどの重力を持っていますが、吸い込まれる前の物体が崩壊する時にX線を放出しています。

しかし、実際にはこれらのブラックホールの8割は遠方の銀河にあるものであり、地球に影響を及ぼすことはないと考えられています。

白いリングの中心がブラックホール、外側のリングが降着円盤。credit : Georg Lamer(Leibniz-InstitutfürAstrophysik Potsdam)、Davide Mella

驚くべきことに、このマップはたったの182日間の観測から構成されており、今後3年半の間に完成が期待されている8つの地図のうちの第1弾に過ぎません。

それらを組み合わせたマップの精度は5倍以上となり、今後数十年に渡って天文学者や宇宙学者の研究に役立つこととなるでしょう。

参照:iflscience / クリックで飛ばす文字列を入れます