シャボン玉を使った幻想的な受粉方法が登場

この写真は、カンパニュラの花に化学的に製造されたシャボン玉を示しています。
カンパニュラのめしべ柱頭に付着している機能性シャボン玉の写真。credit : 都英次郎.西陽

自然界において花の受粉プロセスは生物多様性を保つために非常に重要です。

故に、その役割を担っているミツバチなどの生物は「最高の奉仕家」と言っても過言ではないでしょう。

しかし、温暖化などの影響によりミツバチの個体数は年々減少しています。

それを補うための、筆などを使った人工授粉という重労働、花粉あたりのコストの増加は世界的に重要な問題であるとされており、早急に「グッドアイディア」を出すことが求められています。

それを受けて今回、シャボン玉を使用して花粉を運ぶというなんともメルヒェンな方法が発表されました。

シャボン玉受粉

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credit : pixabay
この方法を考案したのは北陸先端科学技術大学院大学の准教授である都英次郎氏です。

とある日、息子さんとシャボン玉で遊んでいる時に都准教授は「ひらめき」を得たといいます。

それは、「溶液に花粉を混ぜ込み、シャボン玉に花粉を運搬させる」という斬新なものでした。しかし、それには花粉を変質させない溶液や最適な濃度を見つけなくてはなりません。

従来の溶液を使用したものは毒性があったため花に使用するには不向きです。そこでチームはラウラミドプロピルベタインに目をつけました。この物質には毒性がなく、人間が飲んでも安全です。

チームはテストされた5種類の中で最もシャボン玉形成能力が優れており、花粉管を発芽させ、その成長を補助する能力があることを突き止めます。

credit : 都英次郎.西陽 iscinece.2020

さらに、溶液にカルシウム、その他のミネラルおよび化学物質を加え、phを最適化することで最も効果的な溶液を作り出しました。

こうして得られた「最高の溶液」の効果を検証するためにチームは梨の花にシャボン玉を吹きかけ、花粉を運搬する実験を行いました。

実験には市販の「バブルガン」が使用され、花1つあたり最大で50個(0,1,2,5,10,20,及び50)のシャボン玉が向けられました。シャボン玉には1つあたり約2000の花粉が付着しているといいます。

さらに、比較対象として「最適化を行っていないシャボン玉」や「従来の粉末受粉法」、「何もしない(自然受粉)」などが用意されました。

結果、「最高の溶液」を使用した対照群の95%で受粉が確認されました。これは手作業で受粉させたときと同等の確率であり、「何もしない(自然受粉)」の58%よりも遥かに高い値です。

一方で、10個以上のシャボン玉を向けると花粉の数が減少し、花粉管が短くなることが確認されました。これは溶液の濃度が上がることで毒性が蓄積され、花粉に影響が出るためだと考えられています。

ドローン×シャボン玉

実験に使用されたドローン.credit : 都英次郎.西陽 iscinece.2020

チームの最終目的はドローンと組み合わせて受粉を行うことでした。これが実現できたならば広大な果樹園であっても受粉が容易となります。

テストはバブルガンを搭載できるように改造されたドローンで行われました。このバブルガンは毎分5000個のシャボン玉を継続的に発射することが出来ます。

実験の結果、2メートルの距離で発射した場合、90%の確率でシャボン玉を花に当てることに成功しました。それ以上の速度を出すとシャボン玉が着地の衝撃で破損してしまいます。

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これら一連の実験結果からチームは「シャボン玉は花粉を媒介させる手段となりうる」と結論づけました。

研究は成功を収めたものの、いくつかの課題についてさらなる研究が必要となります。

使用されている化学物質が自然に残留するのかは定かではありませんが、これらの物質はミツバチの減少に関与する可能性があります。

しかし、器械を用いた受粉という思想は有用性の高いものであり、より安価かつ効率的な手法を開拓できるかもしれません。

近未来の果樹園ではミツバチではなくドローンが飛び回っているのかもしれません。

この研究はiscience

参照:dailymail online / bbc