ワニの祖先は二足歩行で歩き回っていたことが判明

恐竜の化石というと、真っ先に博物館に飾られているような骨や歯の化石を思い浮かべるでしょう。しかしそれ以外、例えばフンや鱗、足跡なども化石として保存されている場合があります。

これらは「生痕化石」と呼ばれており、その恐竜の生前のダイナミックな動きを私達に教えてくれます。

そして今回、足跡の化石から現代のワニの祖先は尻尾を宙に浮かせ、他の恐竜と同じように悠々と二足歩行で地上を歩きわまわっていたことが判明しました。

credit : アンソニー・ロミリオ・クイーンズランド大学 独立研究員 / sciencealert

翼竜?それとも爬虫類?

古代のワニが二足歩行で地上を闊歩する光景を想像することができるでしょうか?

難しいでしょう。どんなに頑張ってもコモドオオトカゲを巨大化させたような生物しか思い浮かびません。

それは研究者たちも同じだったようで、当初、彼らはこの生痕化石のことを「非常に保存状態の良い翼竜の足跡」であり干潟で羽を休めていたときのものであると誤解していました。

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翼竜のものと思われていた生痕化石。credit : Kyung Soo Kim et al. nature scientific report2020

しかし、詳しく観察してみると化石のくぼみ、一つの足跡のかかとには「厚い鱗」のようなはっきりとした痕跡が残っていました。

翼竜類も鱗のような皮膚を持っていますが、このような厚いものではありません。

また、「足跡の幅」はこれまでに発見された翼竜のものと比べて狭く、現代のアメリカワニに似たものでした。

それに加えて、翼竜は地上にいるときは四足歩行をしていると推測されているにも関わらず、前足の足跡は見つかりませんでした。前足の上に後ろ足を重ねる生物も存在しますが、この生物がそうであるという証拠は見つかっていません。

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左から、現代のアメリカワニ、今回見つかった足跡、他の脊椎動物の足跡(尻尾あり)、別の場所で見つかった翼竜の足跡。credit : Kyung Soo Kim et al. nature scientific report2020

これらのデータを慎重に分析したところ、この足跡をつけた生物は二本足で移動しているが恐竜とは別の生物であることが明らかとなりました。

ならば誰のもの?

生物の歩き方は様々です。

例えば、人間は足の平らな部分で歩くため、「かかと」が足跡に残りますが、イヌやネコなどは速度を出すためにつま先立ちの状態で歩くため「かかと」が足跡に残りません。

これと同じことが恐竜にも言えます。

二足歩行の恐竜はつま先立ちで走るため、かかとの足跡など残らないはずです。しかし、この足跡の化石にはかかとが残っていました。

これらのことを総合して研究チームは「この足跡はワニの祖先、またはその近縁種のものであり、彼らはかつて二足歩行をしていた」と結論づけました。

足跡は人間が作ったものに似ていますが、足の裏やつま先からうろこ状の跡が厚くなっています。
古代のワニの祖先のイメージ画像。credit : Kyung Soo Kim et al. abcnews

研究チームにとってこの結果は予期せぬものでした。なぜなら二足歩行するワニの祖先の生痕化石などはこれまで発見されていなかったからです。

しかし、その比較的すぐ後に現代のワニのような生物が登場したことを考えると、やはり彼らに二足歩行は適さなかったようです。

それと同時に、今まで発見されてきた化石たちが誤ったカテゴリーに分類されている可能性も示唆されました。

いままで翼竜や他の生物のものだと思われていたものが実はワニの祖先のものだったなどということがあるかもしれません。

この研究はscientific reportに掲載されました。

参照:sciencealert / ABC News / scimex