イカはセントラルドグマに従わず自由にRNAを編集できることが判明。

イカは不思議な生き物です。その触角、目、胴体のこれを見ても既存の生物とは異なる形をしています。そんなエイリアンのような生物の新たな特技が見つかりました。それは核から離れた後でもmRNAを編集することが可能というものです。

ロングフィン沿岸イカ credit:Elaine Bearer

少なくとも人間において、DNAは次の世代に伝えられるまでほぼ不変のままです。DNAは核内でメッセンジャーRNA(mRNA)にコピーされ、短く編集した後に核の外へ送られます。

基本的に核の外に出たmRNAは編集することが出来ないと言われています。しかしイカは核の外に出た後でもmRNAを編集できることが判明しました。動物細胞の核の外で遺伝情報の編集が観察されたのはこれが初めてです。

credit:From:Vallecillo-Viejo et al、Nucl。Acids Res。、2020。

この発見は分子生物学の『セントラルドグマ』に大きな衝撃を与えます。この概念は「遺伝情報はDNA→mRNA→(翻訳)タンパク質になる。これらは改変されることなく渡される。これは細菌からヒトまで、原核生物・真核生物の両方に共通する基本原理。」というものですがイカはこの概念から外れていることになります。

「しかし、すべてのRNA編集が核内で行われ、その後、修飾されたメッセンジャーRNAが細胞にエクスポートされると考えました」と、本研究の主著者であるRosenthalは述べています。

「現在、私たちはイカが細胞の周辺でRNAを修飾できることを示しています。 つまり、理論的には、細胞の局所的な要求を満たすためにタンパク質機能を変更できます。 これにより、必要に応じて遺伝情報を調整するための自由度が広がります。」

また、チームはメッセンジャーRNAが神経細胞の軸索で編集され、核よりもはるかに高い速度であることを明らかにしました。

とはいえ、イカが遺伝子編集能力を示したのはこれが初めてではありません。2015年にRosenthalと同僚は、イカがメッセンジャーRNAを並外れた程度で編集し神経系で産生されるタンパク質のタイプを微調整できることを発見しました。

現在、これらは特異な生物の例外的な機構に過ぎませんが研究者はこれを軸索機能不全がきっかけの神経疾患の治療に応用できないかどうか検討しています。

参照:sciencealert

参照:phys.org